兵六

友人と待ち合わせ、以前から気になっていた神保町の居酒屋「兵六」に行った。

これぞ居酒屋、という雰囲気。客たちは思い思いに熱く語り合っている。マスターは落語家のように良く通る明るい声で威勢よく応対する。

窓は簾ごしに開け放たれ涼風が吹き込む。

壁には先代の写真。味がある。

最高の酒は球磨焼酎「峰の露」。キンキンの冷やで生(き)で飲む。

これでも米?

思わず頭傾げる旨さ。ジンのように脳天の神経回路を直撃し、思考はより柔軟になっていき発想は飛躍する。

〆(しめ)は餃子。隣で1人で飲んでいた若いあにさん曰く、「それ美味いでしょ、これと炒豆腐(チャートウフ)食べにわざわざ会社帰りに地下鉄降りてここに立ち寄るんですよ」。

壁には四箇条の戒め(してはいけないこと)。

『他座献酬
大声歌唱
座外問答
乱酔暴論』

徹頭徹尾の居酒屋でした。
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# by k_hankichi | 2009-07-10 07:07 | | Trackback | Comments(0)

「逃げてゆく愛」

ベルンハルト・シュリンクの短編小説集。ちょうど今公開されている映画「愛を読むひと」の原作者でもある。

40~50代の男性の視点で、愛のなかにある心の隙間、ゆれうごきをどれもうまく描いている。

独占欲、嫉妬、放蕩性、情欲、移り気、幻想、東西ドイツの分離、ユダヤ人の独自性、など。

ああ、この気持ちはぼくもあった、という感慨になんども浸る。

読後に残る余韻がとても静かで、でも少し重い、そんな一冊でした。

時を空けて、また読み返したい。そう思います。

逃げてゆく愛 (新潮文庫)

ベルンハルト シュリンク / 新潮社


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# by k_hankichi | 2009-07-09 20:20 | | Trackback | Comments(0)

ベネディッティ・ミケランジェリのドビュッシー

ベネディッティ・ミケランジェリのドビュッシー前奏曲集を昨日から聴き始めました。

考えてみれば、もう30年も前にリリースされたレコードなのですが、学生時代はお金が無かったことと(何せDGです)、皆が持て囃していたこと、そしてやっぱり顔がいかめつくて取っ付きにくかったこと(サルバトール・ダリ?)から、聴いたこともありませんでした。

出だしのからして圧倒されました。いろいろな音がきこえてくる。濁りがない。

今まで聴いてきたピアニストは何だったんだろう。

これを30年前に聴いていたら、今は自分自身も、もっと違うものになっていたかもしれない、とも思いました。

違う仕事。違う人生。違う生活。

打ち倒されそうに素晴らしいタッチのプレイヤーです。

「なんも言えねえ。」

ドビュッシー:前奏曲集第1巻

ベネデッティ=ミケランジェリ(アルトゥーロ) / ユニバーサル ミュージック クラシック


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# by k_hankichi | 2009-07-06 07:00 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

「オリンピックの身代金」

奥田英朗さんの「オリンピックの身代金」、昨晩読了。

会社の友人が「お薦め」、とポンと机に置いていったものですが、良かった。

昭和39年の夏。じりじりとした焦燥、わくわくした世界の祭典を待つ人々、どんどんと変わりゆく街。

ストーリーの奇抜さにも感じ入るが、ぼくにはこういった郷愁が記憶が蘇ることが心地よかった。

この年、五歳だった僕の記憶。

名神高速道路が開通したワクワク感。新幹線が開通した月に乗り、スピード感よりも、車両間連結器が怖くてなかなか隣の車両に移れなかったこと(0系の初めは連結器上の床がぐにゃぐにゃ動いた)。そしてオリンピックはチャフラフスカの妖艶な体操や三宅の重量挙げ。

経済効率や成長に向けて皆が怒涛のように集中した時代が残した現在の日本に、これで良かったのか、という問いかけもしているような小説だった。心地よさが残った。

オリンピックの身代金

奥田 英朗 / 角川グループパブリッシング


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# by k_hankichi | 2009-07-03 07:11 | | Trackback | Comments(0)

「花とアリス」

友人が薦めてくれた、「花とアリス」、先週末に見終わりました。

鈴木杏(花)と蒼井優(アリス)。岩井俊二監督。2004年。

絶品、素晴らしい。


心が、爽やかな清らかなものをすべて包まれました。

さいごのバレエのシーン。息を飲む美しさ。微動だにせず見入りました。

きれいな清純な心身とはこのことをいうのだと思いました。

ふたりの高校生の関係も、まさにそのままの世界がそこにありそうで素晴らしい。

アリスの母。ウインクの片割れでしたか?若々しい、でも奔放自堕落さが良い。

花の母、艶めかしいお母さんも可笑しかった。

アリスとパパのデートは羨ましかった。

いい加減な作りが一切無い、手抜きや隙間のない素晴らしい映画でした。

こういう映画はどんどん流行ってほしいなあ。

ありがとう。

☆☆☆☆☆

花とアリス 特別版 [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント


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# by k_hankichi | 2009-06-29 23:48 | 映画 | Trackback | Comments(0)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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