カテゴリ:クラシック音楽( 657 )

「そりゃ、気の抜けた炭酸水というんだよ。それに似た音盤を僕も以前買って、ふんにゃ〜という気分になって閉口した覚えがある。Hankichi君、それ、買うたらあかんあかん。」

友人の言葉に、まさに言えて妙と思った。なるほど気の抜けた炭酸水だ。思えば思うほど残念無念な気持ちで一杯になってくる。

悔しいから、夜にもう一度聞き直している。吹奏楽五重奏版のラヴェルの弦楽四重奏曲と『マ・メール・ロワ』『ソナチネ』。

ああ、こりゃ困った。こういう時間に聴くと、気の抜けた発泡酒という感じだ。気の抜けたシャンパンならば、味わい深いワインと化すのになあ。

困ってしまってワンワン、ワ、ワン。雪も止んだ寒空に吠えたい気分になった。

■演奏
The Orlando Quintet
■収録
2012.12.21-23, De Westvest90-jerk, Schidam, The Netherland
■音盤
Brilliant Classics 94772

追伸:
友人が言っていた気の抜けた炭酸水のラヴェルのピアノ協奏曲の音盤。棚を探してみたら僕も持っていた。もう一度聴いてみたら、ますます哀しくなってきた。




■気の抜けた炭酸水
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■件の音盤(室内楽版のピアノ協奏曲など)
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by k_hankichi | 2019-02-09 21:31 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

ウォークマンで楽曲を聴いていたあとで、突然流れ始めた曲に驚いた。こんな音盤を持っていたのだろうか?

マックス・レーガーの『8つの宗教的歌曲』作品138と宗教合唱曲集・作品110。

無伴奏で合唱はベルリン放送合唱団とハレ・コレギウム・ヴォカーレ、指揮ディートリッヒ・クノーデ。

現代ではなくしかしロマン派とも違う、とても不思議なる音階だ。神聖さのなかに一抹の不安が交錯する。

疲れた心身のなかを水の如く通り過ぎてゆくなかで、浄化されてゆく。

■音盤: Berlin Classics 0020172BC



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by k_hankichi | 2019-02-08 07:45 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)


おとといの夜のFM放送で流れていたのは初めて聴くショスタコーヴィッチの曲で、それは『5つの小品』というもの。

もともとは映画音楽としてつくられていて、それが二つのヴァイオリンとピアノのためにアレンジされたものらしい。

放送で流れたのはそのなかの「プレリュード」「ワルツ」。一台のヴァイオリンをクラリネットに置き換えている。

(クラリネット)アンドレアス・オッテンザマー
(バイオリン)郷古廉
(ピアノ)ホセ・ガヤルド

忘れた去っていた思い出がふとよみがえり、しかし殊更に掘り起こしていこうとするとまたたく間に消えて無くなってしまいそうな音楽。素晴らしかった。

ショスタコーヴィッチの交響的作品は苦手だったけれども、こんな作品があるなんて。もっと聴いていきたくなった。

■二つのヴァイオリンによる原バージョン。


■こちらは土曜日の散策(飯田橋〜九段〜千鳥ヶ淵〜神保町〜御茶ノ水など)の風景から。20260歩。
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by k_hankichi | 2019-02-03 15:05 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

フォーレとラヴェルの歌曲集を聴いている。ピアノ伴奏の曲(ポール・ヴェルレーヌの詩に基づく)のほかに、弦楽四重奏とピアノによる伴奏(やさしき歌)や、室内アンサンブルとピアノによる伴奏(マラルメの3つの詩)、はたまた木管とピアノによる伴奏(マダガスカル先住民の歌)などが集められていて、実にゆったりと陶然となる。

バーバラ・ヘンドリックスという歌手の歌声は絹の布のように柔らかくて滑らかだ。しっとりとしたぬめりのある温い湯のなかに手を浸しているかのような心地よさがある。

こんな歌声は滅多にない。ますますいろいろと聴いてみたくなった。

■曲目
フォーレ:
歌曲(ポール・ヴェルレーヌの詩による)
- 月の光 op.46-2
- 憂うつ op.51-3
- マンドリン op.58-1
- ひめやかに op.58-2
- 緑 op.58-3
- やるせない夢ごこち op.58-5
「やさしき歌」op.61

ラヴェル:
「マラルメの3つの詩」(溜め息、むなしい願い、壺の腹から一飛びに躍り出た)
「マダガスカル先住民の歌」(ナアンドーヴ、おーい、休息―それは甘く)

■演奏
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)
ルーヴェ・デルヴィンイェル(ピアノ)
スウェーデン室内アンサンブル

■収録
2009.3.30-4.3、ロイヤルアカデミー・オブ・ミュージック、ストックホルム
2013.5.14-15、ルーテル教会サン・ピエール、パリ(フォーレの歌曲集のみ)

■音盤
Arte Verum ARV-012



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by k_hankichi | 2019-01-22 19:06 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

切り札競争

昨日はいつもと同じように仕事仲間との打ち上げ会で締めくくった。11人のうち半分以上は海外メンバーで、アメリカ人4人のほかはフィンランド人、フランス人、インド人。

フィンランド人とはシベリウスの話で盛り上がる。アイノラにいま息子が居るということを知って、おおっそこは・・・となる。フランス人とは勿論ドビュッシーの話をするがどうしてかピンとこないのは彼女がノルマンディー出身だからかもしれない。

アメリカ人とは、技術のこと以外は野球と酒、それと祖先は何処に居たのか(ドイツだとかイギリスだとかポーランドから来た筈だというように)というふうにしていると大体は話題がもつ。芸能音楽だと行き詰まる。

そんななか、シンシナティ出身だとばかり思っていたひとりが、大学はそこだけれど実家はクリーブランドでそこで生まれて・・・と口走った。

そこからが大変だった(彼にとって)。ジョージ・セルを知ってるか?いまのクリープランド管弦楽団は元気なのか?ロジンスキーは頑張ったようだね!ジョージ・セルはハンガリー出身だよね、ゲオルグなんだ。苗字の綴りはセーツェルだな。

困りはてた彼は、美人の妻と三人娘の写真を見せ始めた。余りにも美しくて話は一変で変わった。

音楽に勝るものもある。


■こんど足を踏み入れたい路地。その先に名店があると想像する。
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by k_hankichi | 2019-01-19 11:13 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)

寒い夜に暖をとりながら耳を傾ける音楽は、どのようなものでも心地よく感じるが、いま聴いているそれは何の邪念も蟠りも心配も興奮もなく静かに過ごせるものだ。『グレゴリアン・チャントの神秘』と題された音盤は米国の合唱団シャンティクリアによるア・カペラ。

普通ならば癒しの音楽と言ってしまうだろうが、それを通り越してまさに透き通った媒体の中に身を浸している。無心という状況になる。

「灰の水曜日」「枝の主日」「聖木曜日」「聖金曜日」「聖土曜日」「復活祭」「聖母マリアのためのアンティフォナ」といった、まるで聴いたことのない曲が次々に流れていく。

どれが水曜日でどれが金曜日なのか、全然わからないけれど、それでもよいのがグレゴリアン・チャント。もっと聴き込んで曜日やら曲名やらが直ぐに言い当てられるようになろうかとも思ったが、そんなことはもとから求められていない音楽だと悟る。

ただひたすらに素朴に浸る夜だ。




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by k_hankichi | 2019-01-16 00:26 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)


ブログ知人のNumabeさんが11月に紹介していたフォーレのオーケストラ曲と組曲のアルバム『秘密のフォーレ』を手に入れて、旅先で聴き入っている。最近の宿にはCDやDVD再生機もリクエストに応じて用意してくれるから、テレビに繋げるだけであたかも自宅のような寛ぎに包まれる(コンポーネントのアンプやスピーカーは無いから、そこはかとない音ではあるけれども)。

この音盤は実に癒される雰囲気で、それは気負うということからかけ離れた肩肘張らぬ姿勢(オケも歌手も)がそうさせるのだと思うし、そしてまた演奏している人たちがフォーレの音楽を本当に好きなことがもたらしていることが説明無くしてわかる。

Numabeさんは「英国の指揮者、スイスの楽団と合唱団、ロシアとドイツの歌手の不思議なアマルガムから生まれた新時代のフォーレ演奏」と評している。まったく頷く。フォーレの音楽をこんなに慈しんでありがとう、とフランス国民に成り代わって伝えたくなる。

そして思う。

今のこの自己中心的なる各国の世知辛い社会情勢を脇にながめながら、それでもいま僕らにできることは、自己を犠牲にしてでもアマルガムのように、相手の物質や懐に互いに溶け込み融合しようとすることしかないのかもしれない。

100年前の世紀末の頽廃の雰囲気を現代に重ね、何かしらの望みを見出そうという淡い希求が聴こえてくる。

■曲目
音盤タイトル〜"The Secret Fauré"
フォーレ:
1. 劇音楽《カリギュラ》(全五曲)***
2. 歌劇《ペネロープ》前奏曲
3. ソプラノと管弦楽のための歌曲*
1) イスファハンの薔薇(管弦楽編曲/フォーレ)
2) 夕べ(管弦楽編曲/ルイ・オーベール)
3) 月の光(管弦楽編曲/フォーレ)
4) 夢のあとに(管弦楽編曲/アンリ・ビュセ―ル)
4. 劇音楽《シャイロック》(全五曲)**
5. 組曲《ペレアスとメリザンド》(「メリザンドの歌」*を含む)
■演奏
ソプラノ/オリガ・ペレチャトコ*
テノール/ベンヤミン・ブルンス**
アイヴァー・ボルトン指揮
バルタザール=ノイマン合唱団(女声合唱)***
バーゼル交響楽団
■収録
2017年8月14~18日、ドルナッハ、ゲーテアヌム
■音盤
Sony Music Germany 19075818582

※末尾の顔写真はオリガ・ペレチャトコ(解説書の裏表紙になっている)。首を傾げた仕草は誰と言わずでもちょっと愛らしい。


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by k_hankichi | 2019-01-15 00:14 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)

昨年はドビュッシーの没後100年だったから、それにまつわるさまざまな音楽会があり、音盤や本が刊行された。本当はその波に乗りぐいぐいと彼の音楽を吸収していきたかったが、何故かタイミングを逸して、師走のころに気づけば、土用波が打ち寄せる海を指を咥えて眺めているような面持ちになっていた。

そんななか年初に買い求めたのがジャック・ルヴィエによる一枚。この演奏にはびっくりした。こんなドビュッシーの演奏を聴いたことはこれまで全くなかった。

『ベルガマスク組曲』『2つのアラベスク』などが入っているのだけれど、出だしからして良い具合だ。

素っ気ない風情といったらこの上なく、それでいて付かず離れずの感覚は、ああこの人はそうやりながら人の気持ちに寄り添って行くのだということが分かる。

そして抑揚を効かすことに堪えきれなくなったとき、ええっと驚くほどの叙情が迸る。その人間味に思わず笑みを漏らしてしまう。

恩着せがましさとは無縁な、孤高の輝きがあるこの人の演奏は、これからずっと離さないだろうものになってしまった。

■曲目
ベルガマスク組曲
2つのアラベスク
バラード
ロマンティックなワルツ
ジプシーの踊り
マスク
ハイドン讃
喜びの島
■収録
1985.5.4-8、コンセルトヘボウ、ハーレム、オランダ
■音盤
日本コロムビア 33C37-7734




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by k_hankichi | 2019-01-14 00:29 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

小林信彦さんのエッセイにはクラシック音楽のことはあまり出てこない。しかし件の一冊ではダニー・ケイの映画のことが二回ほど出てきて「チャイコフスキー」という歌のことが書かれていた。38秒間のうちに、ロシアの作曲家54人の名前を歌う曲だそうだ。

彼の十八番のひとつだそうで、『ダニー・ケイの新兵さん』という映画の中でも歌われているそう。

この俳優が出るテレビ番組のことを僕も覚えている。東京12チャンネルでやっていて、父親が観ているのを横で一緒になって観ていた。白黒テレビの時代だ。

その少しあとだったか、ディーン・マーチンとジェリー・ルイスが出るコメディもよく観ていた。思い出してみると、昭和の時代はアメリカ製コメディやらドラマを欠かさず観てきた。

SFドラマは「タイム・トンネル」、「宇宙家族ロビンソン」、「原子力潜水艦シーヴュー号」、「インベーダー」など。

SF人形劇ドラマは「サンダーバード」、「謎の円盤UFO」、「ジョー90」、「キャプテン・スカーレット」など。

どんどんと記憶が蘇ってきた。


■ダニーケイによるチャイコフスキー


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by k_hankichi | 2019-01-11 07:53 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)

聖夜にデュリュフレ夫妻によるバッハのオルガン曲集に耳を傾けている。このアルバムは、モーリス・デュリュフレとマリー=マドレーヌ・デュリュフレがほぼ半分ずつを分担して、前奏曲とフーガ、トッカータとフーガ、幻想曲とパッサカリアを弾くもの。

静かな夜に教会音楽が沁み入り、キリストの慈愛とともに年の瀬に向かうこの一年の日々を思い出す。

一連の曲集を夫妻で弾き分けるという音盤は初めてで、すこし彼らのことを調べてみた。

デュリュフレはパリ音楽院でマルセル・デュプレのもとオルガン科の助教授を務めていて、そこでマリー=マドレーヌと出会い、6年後に結婚する。彼は教職と作曲家のほかに、パリのパンテオンの裏にあるサンテティエンヌ・デュ・モン教会のオルガニストでもあって、マリー=マドレーヌはそこでも職を共にし、また一緒にさまざまな場所に出掛けて演奏もした。

この音盤の演奏はパリの北東のソアソンのSaint-Gervais & Saint-Protais聖堂に1956年に設けられたパイプオルガン(ヴィクトール・ゴンザレス製)によるもの。ヴィクトール・ゴンザレスはスペイン生まれだがフランスのカヴァイエ=コルにオルガン製作を学び、のちに自らのオルガン工房をパリで立ち上げた。その彼による最後の製作となった楽器がこの聖堂に納められたものだそう。

夫婦は1975年に南フランスで自動車事故に遭い共に大怪我をする。モーリスは演奏が出来ない身体となったが、マリー=マドレーヌはパリの該教会のオルガニストとして晩年まで務め上げた。

デュリュフレの宗教音楽への愛は本当に深く、その気持ちは妻にしっかりと引き継がれ、夫が亡くなったあとも教会での務めのほか海外への演奏ツアーも続け、ニューヨークでは「デュリュフレ・フェスティバル」も設けたそうだ。

■録音
1963年11月 & 1965年7月、Saint-Gervais & Saint-Protais聖堂、Soissons
■音盤
EMI Music France 7243 4 89173 2 4


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by k_hankichi | 2018-12-24 22:51 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)