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カテゴリ:街角・風物( 494 )

ご破算に遭遇する

今回のインド出張では、たくさんの衝撃的なことに遭遇したが、実は着いて早々にまず驚かされたのは紙幣のことだった。

前回の短期出張時に使いきらなかった紙幣があったから次のようなやり取りになった。

「これがあるから両替しなくても良いよね」

「え?それ紙ですよ」

「紙?」

「紙」

「どういうこと?」

「3年ほど前に、この高額紙幣は無効化されたんです、一夜にして」

「は?」

「使えなくされてしまったんですよ、首相のいきなりの宣言で」

「は~」

それを聞きながら、だんだんと腹の底から笑いがこみ上げてきた。世の中、世界が引っくり返るように思えることがあるんだ。

平々凡々、まあこれくらいあれば何とかなる、と思いながら生きていても、それはぬか喜びに過ぎず、ルール改訂、振り出しに戻る、なんてこともあるのだ。

あまりの驚きに唖然を通り越して、とめどなく愉快な気持ちになった。

この先、まだまだ何が起こるか分からない。それが世の中というものなんだ。


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by k_hankichi | 2019-09-08 23:44 | 街角・風物 | Trackback | Comments(5)

安全への配慮に感じ入る機内ビデオ

離陸前に機内で放映されるセイフティビデオほどつまらないものはなく、でも若しもの時に備えなくてはと一応は観ることにしている。

しかし今回の出張では無理やり観るのではなく、進んで観たくなる内容だった。

機知と工夫に富んでいて、流石に好評価を得ているエアラインだけのことはある。

すべての航空会社がこのくらいの注力をしてくれれば、有事の際の混乱も少なくなるのではと思うほどだ。

シンガポールエアライン、汝の温かさに癒されました。



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by k_hankichi | 2019-09-07 08:29 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

我はデカン高原なり

中学校の地理の時間に「高原」を覚えさせられたから、どこに何々高原がある、ということだけは知っていた。パミール高原、チベット高原、ボリビア高原、エチオピア高原、エクアドル高原、南極高原・・・。でもこれまでそのどこにも行ったことは無かった。

そしていま「デカン高原」の真っ只中のいる。足を下ろしてみると、なんだか感慨深いものがある。

名前の響き格好良さからすれば「パミール高原」が勝つように思うけれど(因みに平原の名前の響きの良さの一番は「パンパ」だ)、この地に立ってみると、アジアの造山運動のなかで出来上がった玄武岩台地の重みが伝わってくる。よい感じだ。

俺たちが北に北に動いていったから、ヒマラヤ山脈が出来たんだ。やい、エベレスト。お前は自助努力ではなく俺たちのお陰なんたぞ。感謝しろ。

そう言いたくなる。

なりきりデカン高原のいまだ。


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by k_hankichi | 2019-09-06 11:10 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

混沌を許容する

混沌の度合いが三桁くらいは違う。いや、もしかしたら四桁かもしれない。インドに来ての気持ちである。

人の数がなにしろ多い。

その様相の幅を眺めているだけで、日本人というのは金太郎飴にしか思えなくなる。

道端に
座って通りを眺めているひとたち。
ゴザを広げて少しばかりの作物を並べて売る女性たち。
そのまえを我が物顔で走り行くバイク乗りたち。
ガネーシャの飾り物やら何やらを売る屋台の人たち。
牛や山羊を放牧する牛飼いたち。
トゥクトゥクを運転する男たち。
立ち話を延々とし続ける老人たち。
掘っ立て小屋やテントで路上生活をする一家(父親母親と子供)たち。
泥んこまみれ埃まみれの道の脇を延々と歩き続ける親子たち。
工場の単純労務者たち。
会社勤めのサラリーマンたち。
そして高い塀で囲まれたホテルのなかで優雅に過ごす人たち。

ダイナミックレンジが広すぎて頭がくらくらする。

牛は路上を占拠するわ、山羊や羊は走り回るわ、猪は路上を嗅ぎ回るわ、犬は道端で徒党を組んでギャング面するわ、鷄は飛ぶわ。

ヒンズー教徒が大半かと思いきや、イスラム教徒も居るわ居るわ。帽子や頭巾を被った集団はとても目につく。仏教遺跡はたくさんあるのに仏教徒は目立たない。

そして無いも同然の交通ルール。
左側通行だが反対車線をバイクのみならず車も走る。
1台のオートバイに5人乗って平気で走る(ヘルメットは誰も被らない)。
前から後ろから煽ること煽ること(日本の8月の例の事件の運転手にはここで精神修行をしてきて欲しかった)。
ここではクラクションは煽るため(だけ)ではない。極めて純粋な注意喚起のためだ。

混沌の世界に頭がくらくらする。

しかし次第に気づいていく。

ああ、つまり世の中というのは何でもありなんだ。それでも、人たちは何とか生きていこうとするのだ。

多少の違いを気にしながら、なんだか肩を縮めて息苦しく生きる日本とは大違いだ。

汝、悩むことなかれ。

そう言われた気がした。


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by k_hankichi | 2019-09-05 03:42 | 街角・風物 | Trackback | Comments(5)

東京の郷愁

有楽町から歩いて日比谷の入江で地下に潜り、増上寺の門のたもとでまた地上にでたら、東宝の日本一男シリーズの映画で馴染みの光景がそこにあった。

いきなり1965年に戻った既視感に捉われて、それから先は、まさに1970年代の追憶と郷愁の怒濤の渦のなかに揺蕩うこととなった。

中学校時代の仲間の寄り合いは奥が深い。


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『日本一のゴリガン男』より
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by k_hankichi | 2019-08-24 22:47 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

初めての手賀沼

連休の最後は日帰り温泉へ足を運んだ。『満天の湯』は北総の手賀沼湖畔にある。

小学生時代に地理で千葉には二つの沼があると教わっていたけれど、そこに足を運んだことはなく、だから生まれて初めてその水面を見た。

幅はそれほど広くなく、川みたいに見えるのたけれど、湖畔のほうは広々として開放感に溢れている。

源泉は地下1800mから湧き出しているそうで、舐めるとしょっぱいナトリウム塩化物泉だ。身体の奥深くまで温まる。

ちょっとした旅行気分を味わってから帰宅したら、深い午睡に陥った。

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◼️遠くに見えるのが手賀沼。手前は梨畑。
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◼️地理で習った手賀沼はこんな形だったろうか。
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by k_hankichi | 2019-08-18 19:28 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

蒸し暑さに頭をやられ酩酊しての記

蒸し暑さが極致に達している週末の街角を歩くのには体力がいる。身体がぐたっとするたびに、目的もなく店に入り、ひやかしと明らかに分かるような目線で棚をサーチするが、店主たちからは一目で見破られている。

夏休みの最後の都会をそうやって神保町を徘徊していた。

同じ書店に何度も入り、涼んで英気を養い、そしてまたクルージングに向かう男は如何にも怪しかった。

それでも昼下がりも時間が経てば、お酒を飲んでよい頃合いになって、だからそういう時間に友人と出会って盃を酌み交わすようになる。

一軒だけのつもりが二軒、三軒そして四軒となるころには、魑魅魍魎が跋扈しているような店にいることになる。そしておどろおどろしつつ、お店の人たちと話を交わしている。

よく考えてみれば、それは最早、お店のひとに管を巻かれている状態で、やくざに絡まれているのとあまり大きな差はない。対抗すべく繰り出すネタも簡単に退治されてゆく。

ジャイアンツの川上監督からバットを何本もらったとか、岡崎友紀と付き合っていた人が誰々だとか、そこに吊るしてあるユニフォームは長嶋茂雄がいついつのゲームで着ていたやつだとこか、ボウリングをそれから何ゲームやっただとか、松田聖子の本名はこうこうこうでそのときから見いだしていたとか、河合奈保子の妹はもっと可愛かっただとかいう流れで、その合間に、おお、この会話はちょいと気が利いてやしまいか、こういう記憶のなかから小説が生まれるのだろうからメモしておいてくれ、というようなやりとりにも至っていたりした。

ようやくそのことを思い出したころには一日が経っていて、その気の利いた会話はいったい何だったのか、とんと思い出せないでいる。

だからごめん、僕は何も気の効いたことは覚えていないんだ、と安岡章太郎的に落ち込んでみたりしながらいま神妙にしている。


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by k_hankichi | 2019-08-17 20:29 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

心の奥底に沁み入るようなハンケチ

偶然手に入れたそれは、バッハのスコアが刷られたハンカチーフだった。「手捺染(てなっせん)」という手刷りの方法で作られていてなんとも味わいがある。

バッハのアダージョ。はて何の曲のどの部分かなあと思いあぐねた。そしてそれが無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番の冒頭だと判ったのは少し経ってからだった。

ハンカチとして使ってしまうのが惜しいこの一枚。額縁に入れて飾っておこうかと思うほど。

心の奥底まで沁み入る、しずかな音色が聴こえてきそうだ。


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by k_hankichi | 2019-08-15 16:41 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)

本当のご破算に遭遇する

今回のインド出張では、驚くようなことばかりに遭遇したが、着いてすぐには次のようなことで驚かされた。

数年前に使った残りの紙幣を大事に持っていたからこんなことになった。

「これがあるから当面両替しなくて良いよね」

「あっ、それ紙ですよ」

「紙っていったい、あ、高額紙幣だから使いにくいの?」

「いえいえ、無効になったんです、3年ほど前に」

「無効?」

「無効」

「とうして?」

「首相がいきなり発表して、一夜にして使えなくなったんですよ」

「どうしよう」

「どうしようもないです」

何がなんだか分からなくなったけれど、だんだんと腹の底から笑いが汲み上げてきた。

こんなことがあるんだ。世の中には目が醒めるような驚きというのあるんだ。

もしかすると、平々凡々、安穏と生きていられることは無いのかもしれない。

そのことが解っただけでも儲けものだった。



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by k_hankichi | 2019-08-07 09:20 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

「浮間」の謎を知る

先週の板橋花火大会は、荒川河川敷で行われた。JR埼京線の浮間舟渡駅からずいぶんと歩いたのだけれど、「浮間」という名前はどうして付いたのだろうかと思っていた。

「大江戸今昔めぐり」を眺めていて、ようやっとその謎が解けた。
https://www.edomap.jp/index.html

むかしの旧荒川(いまの隅田川)は東京と埼玉の境をうねうねと蛇行していたことはよく知られているけれど、曾てそれが作った川中島が浮間の島。その左岸地域も併せて浮間村(埼玉県)だったそうだ。

氾濫を繰り返し多大な被害を与えた暴れ川を治めるべく、下流に荒川の放水路を造る工事が始まったのは明治44年(竣工は昭和5年)。入間川と交錯するような上流部は大正7年から工事が始まり、全て終わったのは昭和29年だというから驚く。

・荒川下流掘削工事 →http://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage00031.html
・荒川上流掘削工事 →http://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/arajo00583.html

新荒川によって、戸田や川口は、広々とした川と河川敷が見渡せる安らぎの街になった。

「(舟渡)渡し舟」も無くなった街は東京都に編入され、単なる下町と化したけれど、新河岸川と「浮間」「舟渡」という地名が残されたことで、川は時として猛々しく暴れるのだという畏れの気持ちを失わずにいることができる。

地名の妙は人々の歴史の奇跡の軌跡。大切にしたいなあ、と改めて思った。


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by k_hankichi | 2019-08-06 06:35 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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