音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

カテゴリ:街角・風物( 436 )

屋根裏部屋の生活

屋根裏部屋といえば、ヨーロッパの貧乏作家や貧乏画家がなけなしの金をはたいて漸く暮らし、そしてそのなかから驚くような作品が生まれるところだと相場が決まっていた。

そんな部屋を憧れていたからかもしれない。僕に充てがわれたのはまさにそういうところ。嬉しいようなちょっと情けないような複雑な気持ちに包まれる。

古いものを大切にする人々の工夫。そのことを身を以て体験した。

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by k_hankichi | 2018-08-11 06:15 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)
ターナーはこんな風景を心の底の記憶に留めながら、それとは対照的な都会の風景、街角、蒸気機関車、港の日の入りを描いていたのだと思った。

車窓から眺める英国の田園風景は、どこまでもどこまでも何事もなく広がっている。羊や牛、馬が草原にいても、それは全く静かで、首を垂れているものは音もなく食んでいる。

静謐という言葉は自然のなかにもあるのだと分かった。

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by k_hankichi | 2018-08-10 15:59 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)

まなこ見開き術に掛かる

西洋の島国は東洋の島国と共通のところがある、と思っているのは我々だけかと思っていたら、「同じ島国だから仲良くしようぜ、大陸のやつらとは違うからさ!」と声を掛けられて、嬉しさと意外な気持ちが入り混じりながら、その相手を見上げた。

その男は、そういうような同意を求めたり強調しようとするときに、カッ、と眼を開いてじっとこちらを見つめる。

人間のまなこはこんなにも大きく開けるのか、というほどで、「眼見開き訓練」というものを子供のときから通過して今に至っているのに違いない。

然して意思が有る無いに関わらず、ついつい導かれるようにして嬉しそうに頷いてしまう。

東洋だとかアフリカだとかオセアニアなどに数多有る国々も、そうして遠い西洋の島国に憧憬を持ち続ける。

「北風と太陽」の童話でも太陽が勝つわけだけれど、大英帝国が培った遠隔支配・懐柔術の片鱗を味わった。


■「さよなら、ロンドン! また来るよ!」。そう小さく呟いて次の目的地に向かった。
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by k_hankichi | 2018-08-09 14:18 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
その次の打ち合わせに出てきたのは、映画『日の名残り』の執事長役のアンソニー・ホプキンスとダーリントン卿役のジェームス・フォックス、に似た容姿と振る舞いをする人たちだった。

専門的な話をするようでいて、しかし何を考えているのか雲を掴むようで何も分からない。心のなかが読めない。深い哲学があるのか、それとも素朴だけの人なのか。

これでは、ミス・ケントン役のエマ・トンプソンに愛想をつかれるのも仕方がない。

市井の人々が、そのまま映画に出ている人のように感じられて、嬉しいやら、と迷うやら。

英国はどこまでも奥深い。

■明治時代の銀座(観たことはないけど)を彷彿させる街並み。
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by k_hankichi | 2018-08-08 06:44 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
三人を目の前にしての打ち合わせは気持ちを集中させるのに苦慮した。時差ボケがあったからではない。次世代技術開発がテーマだったのに、どうしてもその相手の顔つきと喋り方が気になって、上の空になりがちになったのだ。

それぞれは映画俳優にそっくりだった。

マネジメントディレクターは、ヒュー・グラントに似ていて、喋りかたと仕草、ウィットの入れ方までがそのもの。カッコいいなあと思い、『ノッティングヒルの恋人』とかの映画のシーンが思い浮かぶ。

技術リーダーはローレンス・オリビエが監督・主演した『ハムレット』のなかに出てきたホレイショ役の俳優。議論の最中に、さて何という名前だっけ、と考え始めたりして困った。

実務エンジニアはまさにリチャード・ウィドマーク。彼の母親はイギリス人だったはずだと思いながら、ニヒルな語り口は変わらないね、と声を掛けたくなった(もちろん別人だからそんなことはできない)。

そういう邪念をどうにかこうにか振り払い、議論に集中できるようになったのは小一時間も過ぎたころだった。

英国は映画のようにカッコよく語る人々の宝庫だ。


■晩にはパプを訪れ吉田健一の酒を楽しんだ。
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by k_hankichi | 2018-08-07 14:39 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)

花火に覚醒した長い夜

絢爛豪華なる佇まいと腹の底が共鳴する大音響の一時間半に、精神が覚醒し続けたからかもしれない。またその夜に何気なく開いた冊子に、以前世話になった人の記事が出ていてそれが意外な迄に温厚かつ殊勝に読めたからかもしれない。

疲れた脚を休めたいと思って早めに床についたが、まんじりともできぬまま様々なことが頭を駆け抜け、始末に負えなかった。

この先幾度この花火を見るだろうか。人生の岐路に際して自分の選択は正しかったのか。

どうしてか太宰治の『冬の花火』を思い出し、長い夜が続いた。

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by k_hankichi | 2018-07-30 06:53 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
西に東に、また西にと動き回っていたあとで、ふと、あの日の夜はどうしていたのだったか?と考えても何の記憶も蘇ってこないことがある。しかし、だ。最近の有り余る性能を内包する電話機は、そんな失われた記憶を手繰る糸口になる。

そこにはいくつかの写真が記録されていた。記録されている順番から察しても、それは確実に最近のあの一日の最期のほうで訪れた場所への路地だと思う。しかしそれはどこなのか。いくら思案しても浮かんでこない。

まるで遠いむかしの端っこの、甘いのか苦いのか分からぬ狭間のような、そして掴めそうで掴めない光景に似ている。

ひゅるひゅると逃げていく蒟蒻のような、この細い路地の先には何があったのか。それは思い出してはいけないところなのかもしれない。

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by k_hankichi | 2018-07-04 07:04 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
「因幡の白兎」の話のあとに「稲羽の白兎」の話しが続いていたことを知った。いや一度は読んだのかもしれないが忘れていただけかもしれない。いずれにせよ初めて知った気分だった。

隠岐の島から海を渡って出雲に行きたかった白兎は、ワニザメたちを騙して列を組ませ、その上を歩いて渡ろうとするがその意図に気づかれる。

すると最後のワニザメは、たちまち私を捕えてすっかり毛を剥いでしまいました。それを泣き憂いていたところ、先に行った八十神たちが『海で塩水を浴びて、風に当たって伏していなさい』と教えたので、そうしたところ、この身はたちまち傷ついてしまったのです」といった。そこで、大穴牟遲神が兎に「今すぐ水門へ行き、水で体を洗い、その水門の蒲の穂をとって敷き散らして、その上を転がって花粉をつければ、膚はもとのように戻り、必ず癒えるだろう」と教えたので、そうすると、その体は回復した。これが、稲羽の素兎である。」

悪いことをしたとしても、殊勝にしていればやがて神様が救ってくれる、ということ。

稲羽之白兎的に神頼みになる今宵になるだろうか。

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by k_hankichi | 2018-07-02 06:54 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)

金印と清張

金印が見つかった志賀島とはどんなところなのか、ずっと気になっていた。そしてそこに初めて足を運ぶことができたとき、そこは松本清張の小説に出てくる香椎と目と鼻の先なのだということが初めて分かった。

彼がこんなにも日本古来の歴史に所縁の深い地域で生まれ育っていたことを実感したとともに、社会人として独り立ちしてからもそこからはなかなか離れなかったことが、少しだけ分かった気もした。

北九州という土地は、本土でありながら、昔から大陸との行き来が盛んで、もちろん江戸時代は長崎だけに限定はされていたのだけれど、漢委奴国王と言われた時代から元寇の時代を経て現在までずっと、その経路の中枢を担ってきたのだということを感じ入った。

ここはシルクロードの延長の地なのだ。

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by k_hankichi | 2018-07-01 17:00 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)

ガラパゴス化を想う

中国に来るたびに驚くのは、その成長スピードと新しいものを取り入れ展開する速さだ。

コンビニエンスストアシステムの充実度は、日本の上をいくかもしれない。イートインのスペースもしっかり備わっている。店舗の棚の出で立ちは日本のそれと瓜二つ。食い物の種類は微妙に異なれども、だいたいのものの味は推測がつく。

街角での買い物や同僚たちとの食事会では、紙幣のやりとりは最早無い。ウィーチャットというスマホのアプリで、其々の口座から互いに支払いをしてしまう。日本だと実際の金銭が飛び交うはずのものが、こういうやり取りだと生々しくなくて、却ってわだかまりが無い。

極東の島は本当にガラパゴスなんだと、つくづく感じいった。

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by k_hankichi | 2018-06-07 09:11 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)