音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち
からりとした空気の涼しい週末に、ふと頭を掠めた旋律はドヴォルザークの交響曲第8番ト長調。それも第3楽章だった。

無性に聴きたくなって、CDの音盤棚を探してもどうしても見つからない。それもそうだろう、交響曲の8番などここ数十年は聴いていなかったから。

まてよ、と探し始めて普段は見ない書棚のほうをアクセスしてみたら、ああ、やっぱり。ようやく出てきました8番さん。

ターンテーブルに載せて(LPレコードだった)聴き始めた。それを楽しんでいた日々のことが蘇ってきた。

プルーノ・ワルター指揮、ニューヨークフィルハーモニックによる演奏(音盤: CBS/SONY SOCF124)。

この弾けるような舞曲風の旋律は、秋を迎えようと心が踊るそのさまのよう。

活き活きと弾けるようなエネルギーとハリに満ちた音魂。

もうすぐそこに秋がある。

※録音は1947年12月28日。年末押し迫ってのドヴォルザークとは何だか不思議だ。



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# by k_hankichi | 2018-08-19 12:12 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)
藤田の展覧会に行った。とても沢山の作品が集められていて観るだけでも大変だったけれど、改めて彼の偉業を確かめることが出来た。

作風は多様に移り変わっていて、その底流にあるものを想像するだけで、なんだかとてもいたたまれない気持ちになった。

歴史と政治にも流されていった一人の天才画家。

日本に生まれ育ち、そこへの憧憬を断つことなく生きていた人の辛さが分かって、どうしようもなく哀しくなった。

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# by k_hankichi | 2018-08-18 21:08 | 美術 | Trackback | Comments(0)
僕は村上春樹をしっかりと読んでいなかったな、と自分で落胆した。『国境の南、太陽の西』(講談社文庫)を読んでのことだ。

これは上梓されたときに読んだだけで、何もかも全く忘れていた(ストーリーも訴えていたことも、ましてやその真髄は全く)。記憶というものは本当にあてにらない。

今回読んでみて、その骨太な訴えに驚いた。僕の心に響き、これは自分のことだと共鳴した。

「あなたはきっとひとりだけでいろんなことを考えるのが好きなんだと思うわ。そして他人にそれをのぞかれるのがあまり好きじゃないのよ。それはあなたが一人っ子だからかもしれない。あなたは自分だけでいろんなことを考えて処理することに慣れているのよ。自分にだけそれがわかっていれば、それでいいのよ」(イズミという女性が始(はじめ)に言う言葉)

「空白はどこまでいっても空白のままだった。僕はその空白の中に長いあいだ身を浸していた。その空白に自分の体を馴染ませようとした。これが結局僕のたどりついた場所なのだ、と思った。僕はそれに馴れなくてはならないのだ。そしておそらく今度は、僕が誰かのために幻想を紡ぎだしていかなくてはならないのだろう。」(終わりの部分での、はじめの独白)

夏休みに昼寝をしている場合ではなかった。

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# by k_hankichi | 2018-08-17 00:12 | | Trackback | Comments(2)

終戦記念日の『野火』

終戦記念日に、かねて見逃していた映画『野火』を観にいった。→http://nobi-movie.com/

これは本当に本当に怖ろしい作品で、戦いと軍隊と敗残と生き残るための人間のさがというものが、一挙に襲ってくる。

再度観ることはないだろう。それほどまでにオッカナい。

戦争というものは人間を人間ではなくしてしまい、そしてまた新たなる狂気というもの生み出してしまう。そして結局、僕自身もその場に臨んだらそうなっていまうのだ、ということに気づく。

自分自身というものは何か、ということがよく分かり、自己否定したくてもできない。あのときに起きた現実というものが厳然としてそこにあるからだ。

■監督、脚本、製作: 塚本晋也
■出演: 塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作
■原作: 大岡昇平
■製作: 2014年、日本

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# by k_hankichi | 2018-08-16 13:01 | 映画 | Trackback | Comments(2)

セヴラックの休暇

夏休み。仕事のことはあらかた忘れて、朝方からお昼まで冷房の効いた部屋で楽しむのは、デオダ・ド・セヴラックのピアノ曲集。

友人から教わるまでこんな作曲家が居るなんて、全く知らなかった。そして聴いてみて、自分の浅はかさに愕然とした。

3枚組になったその全集は、アルド・チッコリーニによるもの。

今日は、今日の自分そのものに合っている『休暇の日々から』という題名の曲集が入った音盤を聴いている。

第1集はシューマンへの、そして第2集はショパンへのノスタルジーが散りばめられている。

暑さのなかの一服の清涼剤とはこの気分のことを言うのだ。

■曲目
<第1集>
1. シューマンへの祈り 
2. 祖母様が撫でてくれる
3. ちいさなお隣さんたちが訪ねてくる
4. 教会のスイス人に扮したトト 
5. ミミは侯爵夫人の扮装をする
6. 公園でのロンド
7. 古いオルゴールが聴こえるとき
8. ロマンティックなワルツ
<第2集(未完)>
9ショパンの泉
10. 鳩たちの水盤
11. 二人の騎兵 〜時代遅れのスタイルの危険のないカノン〜

12. 「ロマンティックなワルツ」
13. 「夾竹桃のもとで(カタロニアの謝肉祭の夕べ)」
■録音
1968.12月〜1977.7月、Salle Wagram, Paris
■音盤
Warner Music France (Erato) 0724357237222

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# by k_hankichi | 2018-08-15 10:54 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(1)