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2019年 03月 03日 ( 1 )

アカデミー作品賞を獲得した理由がわかった。『グリーンブック』。

時代は1962年。黒人への差別がいまたはびこるアメリカで、カーネギーホールの上の階に住むほど恵まれた天才ピアニスト・ドナルド・シャーリーが、わざわざアメリカ南部へと演奏ツアーに出かける。ドライバーは黒人を蔑視していたブロンクスに住むイタリア系のバレロンガ。美人妻と元気な男の子たちに囲まれた凡庸な男だ。

想定できる展開ではあるけれど、芸術家でインテリの黒人と、教養とは無縁の直情腕力派の白人の珍道中だ。そしてやがて二人は、という筋書き。

しかしその周囲の風景は濃い。ロードムービーというやつはこれまで幾多観てきたけど、アメリカ合衆国というもののなかにある蔑視の本質を、これほどまでに言い当てたものはない。

朝日新聞日曜版のおまけGrobeには、ロスアンゼルス映画批評協会長がレーティング2.5と辛口の点数を付けていたけれど、まさに白人ならではの自己欺瞞がそうさせているだけ。神様に懺悔して本音を告白したほうがいい。

55年前のアメリカ合衆国の心持ちは、今に至ってもそれほど変わることはなく、だからこの国はなあ・・・と改めて気付くことも多かった。

音楽も素晴らしく、件のロックミュージシャン映画を数段も凌駕する佳作だった。

追伸: 映画の中でシャーリーは、若くしてレニングラード音楽院に留学したと語る。クラシック音楽家として研鑽を踏んだわけで、黒人ばかりが集まるバーで弾くショパンの練習曲は圧巻。ロシアではリヒテルやギレリスにも会ったのだろうなあ、と想像するだけでそれにも何だかわくわくした。


■映画トレイラー

■米国版トレイラー


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by k_hankichi | 2019-03-03 15:51 | 映画 | Trackback | Comments(6)

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