2018年 11月 15日 ( 1 )

クラナッハに無常を想った

夕暮れが訪れるころ、アルテ・マイスター絵画館というところで、かろうじて絵を観る機会を得た。15世紀から18世紀あたりの絵画ばかりが収蔵されていた。

フェルメールやルーベンス、レンブラントもあるなかで僕の心を捉えたのは、何故なのか、ルーカス・クラナッハ(父)の絵だった。

ちょうど友人から無常ということについて連絡を貰っていて、それだから尚更なのかもしれない。クラナッハの絵のそれぞれの人の表情からは、まさに「無常」というものが僕に向かってくるように思えた。

どんなに信じていようとも神は見放すかもしれない。そこに示された出来事は本当は違うかもしれない。

主人公の男や女は、つねに虚ろな目つきを中空を静かに投げかけていたり、あるいはこちらを試すかのような目で眺めている。

それは「哀しげ」ということではなく、しかし宿命のようにこうなっているのだ、というようなことを無言で伝えているように感じた。

ドレスデンの夕暮れは瞬く間に夜に囲まれてゆき、聖母教会の前でマルティン・ルターが僕を静かに見下ろしていた。


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by k_hankichi | 2018-11-15 06:11 | 美術 | Trackback | Comments(3)