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2018年 10月 25日 ( 1 )

3冊500円で買い求めたなかから読み始めた。さっそくこの作家らしい素晴らしい作品で、ああ良かったなあと感慨。『袋小路の男』(絲山秋子、講談社)。中篇三作が収められている。

著者が通った高校や新宿の路地を舞台に始まった、何とももどかしい関係の恋愛を描いた作品だ。2004年に川端康成文学賞を受賞した表題作と『小田切孝の言い分』の二作が対の関係になっている。

男と女のどちらもが自分の気持ちをストレートに言えない。それぞれは相手のことを一番わかっていると確信しているが、そのことも相手に言えない。

変に今風に初々しいわけではなく、うらびれた姿を互いにみせたりもする。少しばかりの変化を敏感に気づき、実に遠回りに優しく気遣いをする。

それぞれの気持ちやら過剰ともいえる気遣いを見聞きするだけで、もどかしくなるのだけれど、ああ、こんな時代を過ごしたこともあったなあ、と大切にしていた気持ちを追体験をすることができるような佳作だった。

※作品の舞台は新宿高校で、そこは僕の友人の職場の目と鼻の先だったから何度も通ったことがあって、其れも何とも懐かしかった。


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by k_hankichi | 2018-10-25 00:32 | | Trackback | Comments(2)

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