トランプで言えばフルハウス、麻雀で言えば字一色のようなものを完全形で上がったような夫婦だと思っていた。直木賞作家夫婦の藤田宣永さんと小池真理子さんはその賞だけでなく、日本推理作家協会賞、島清恋愛文学賞、吉川英治文学賞も夫婦共に得ているからだ。二人で世帯を持ってから全てを受賞しているので、より高い得点となる「純正」の上がり方でもある。

その藤田さんの小説にはひと昔ほどまえに随分と嵌って読んで、そのあと暫く遠ざかっていた。先週の買い物のとき久しぶりに手にして先ほど読了。

相変わらず酸いも甘いも知った小気味良い読後感で、ジントニックを出されながら耳元で囁かれるような気がする。『怒鳴り癖』(文春文庫)。

六つの短篇それぞれが、身の回りに起きる不思議な体験を描いている。もしかすると自分もそうなることがあるのではないか、とちょっと不安になる。そしてまた自分の過去の経験の欠片がそこにあるような気がしてくるやつがあったりするから、ますますおっかなくなる。

そしてまた、人生にはこんなに複雑なこともあるのかと感嘆させられ、「いまからでも遅くはない、ちょっと脱線してみないか?」と言われているような気持ちにもなる。

そうだなチョッとやってみようか?と、まだ知らぬ果物の蜜を吸ってみたくなり、そしてそのあとに、すみませんでした思わず魔が差してしまいました、と首を項垂れる姿さえ夢にでてきそうだ。



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by k_hankichi | 2018-10-24 00:16 | | Trackback | Comments(2)