2018年 08月 31日 ( 1 )

大人の恋の物語

セーヌ川がフランスの南、プロヴァンスに迄繋がっているとは知らなかった。ましてやスカンジナビアまでをも運河伝いに行けるとは。

これは純粋で堅物で、しかしロマンにいつも恋い焦がれる男たちへの、一つの倫理哲学的な振り返りの書であり、かつ内省を求める書だった。『セーヌ川の書店主』(ニーナ・ゲオルゲ、集英社)。

「人はみな、時を胸にしまっている。自分の元を去っていった人の面影を胸に抱いている。わたしたちの核も変わっていない。皮膚の下、しわと経験と笑いでできた層の下では、まだ昔のままだ。子供のまま、恋人のまま、娘のまま。」

若き日の性急さと、それがもたらす一つの喪失の世界を、大人の男(五十代初頭)の気持ちとなって見事に描いた作品だった。

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by k_hankichi | 2018-08-31 06:06 | | Trackback | Comments(2)