2018年 02月 27日 ( 1 )

本当のパリっ子とは?

堀江敏幸の小説やエッセイ集にこのひとのことが、よく出てくるから気になって読んでしまった。『パリはわが町』(ロジェ・グルニエ、みすず書房)。

パリの街角の記憶が盛りだくさんに溢れるエッセイ集だった。こんな記載もあって、ロジェはパリうまれではないことを知る。

“夫アンドレが出征しているあいだ、妻の健康状態には不安が生じていた。パリを離れないと、死ぬかもしれないといわれたようだ。そこで1916年、彼女はランビュート通りの店を売って、カーンでまた眼鏡店を始める。

作者ロジェ・グルニエは、このカーンで1919年9月19日に生まれることになる。”

そして冒頭では次のようにも書かれている。

“けれども、わたしの町ということになれば、それはパリである。本当のパリっ子とは、別の地で生まれ、パリで生きるのが征服することであるような人間をいうような気がするのだ。それには、セーヌ河にかかる橋を渡って、目を見はるだけで十分だ。”

なんと明るく開き直った境地なのだろう。京都洛内生まれではなく洛外だということに卑屈になる詰まらぬ本とは大違いだ。

フランス人はパリに関しては屈託ないのだと分かって何だか更に肩が軽くなった。

春になったら、ロジェの生まれた地をも訪れる機会がありそうなので、これも楽しみの一つに加わった。

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by k_hankichi | 2018-02-27 07:20 | | Trackback | Comments(3)