音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

2018年 02月 19日 ( 1 )

銀座は散歩のし甲斐があって、その道また道、景色の風情のことを思い出すだけで楽しい。しかしこれくらいにしておかなくてはならない。

一昨日通った三吉橋の袂には碑があって、そこには三島由紀夫の小説『橋づくし』からの抜粋が彫られていることを、写真をあとで眺めていて気がついた。

“それは三叉の川筋に架せられた珍しい三叉の橋で、向こう岸の角には中央区役所の陰気なビルがうずくまり、時計台の文字板がしらじらと冴えて、とんちんかんな時刻を示している。橋の欄干は低く、その三叉の中央の三角形を形つくる三つの角に、おのおの古雅な鈴蘭燈が立っている。鈴蘭燈のひとつひとつが四つの燈火を吊しているのに、そのすべてが灯っているわけではない。月に照らされて灯っていない灯の丸い磨硝子の覆いが、まっ白に見える。”

なるほど。彼が書いた頃はすでに市制改正されていて東京都中央区になっていた。しかしそこに描かれているのは現在の区役所建物(1969年竣工)ではなくて、先代の京橋区役所(1929年竣工)の佇まいだとわかる。

それにしてもこの作品は、中秋の名月の夜に無言のままに七つの橋に願掛けをして渡れば願いが叶うという言い伝えに基づいて女四人が橋を渡る小説だそうで、なんだかとっても読みたくなった。

■京橋区役所の建物(昭和4年〜)。
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■中央区役所の建物(昭和44年〜)。鈴蘭燈は昔のまま。この角度から撮影すると区役所の文字を突き刺していて少しシュールだ。
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■三吉橋たもとの碑の拡大。三島由紀夫の小説からの写し。堀と川と橋の図も分かりやすい。七つの橋がどれなのかが良く分かる。
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by k_hankichi | 2018-02-19 07:47 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)