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2015年 06月 08日

『おみおくりの作法』・・・感謝のきもちが馳せる丘

週末、二番館で『おみおくりの作法』(原題:'Still Life'→http://bitters.co.jp/omiokuri/、監督:ウベルト・パゾリーニ、音楽:レイチェル・ポートマン)を観た。

場所はロンドンのケニントン地区。民生係を務めるジョン・メイ(エディ・マーサン演じる)は、身寄りが無いまま亡くなった人を弔うことを主な仕事にしている。彼は、ひとりでも多くの知己を集めようとし、そしてそれが出来なかった場合は、故人の身の回りのもののなかから、彼(あるいは彼女)を偲ぶ弔辞をしたためていく。

そんな彼のもとにも、市政の効率を高めようとする嵐が押し寄せてくる。彼のじっくりとかつ丁寧な仕事では、費用が掛かって堪らない、というのだ。そして解雇されることになる。後任の女性はケニントン地区を含めて複数を兼務で受け持つという。彼女や上司の、血も心も通わない所作に、ジョンは愕然とする。

最後の仕事は、ジョン・メイの向かいの家に住んでいたビリー・ストークを弔うことになった。彼の知己を探す旅に出る。その過程過程で、ビリーのことなんて、もう昔のことだから知らない、という人々に出会っていく。彼らひとりひとりに対して、葬式を執り行うことを伝え、つれない返事を浴びせられながらも、次々に彼の人生をさかのぼってゆく。

彼が付き合っていた女にも出会い、残した子供にも出会う。前の奥さんとの間に設けた娘とおぼしき写真アルバムがあれば、それを新しいものに仕立て上げて、その娘を探し出して届ける。浮浪者をしていたころの人々とも出会い、スコッチ(銘柄は'Woods')を彼らとラッパ飲みしながら、故人のことを想いだしていく。

さまざまな思いが交錯し、彼が持っていた墓地の区画をも、ジョン・メイはビリー・ストークのために差し出してしまう。

そんな葬式に臨む直前。弔いを、より素晴らしいものにしようと、わくわくとした気持ちでロンドンの街角を一歩踏み出していた。

そして素晴らしいラストシーンが待っていた。

観終えて家に帰ってきて、僕は、ジョンのことを想いだし、ブレンデッド・スコッチならぬシングルモルトをストレートで煽った。哀愁ある映画の音楽のことが頭をよぎり、そして弔いの気持ちということが、さらに静かに沁みてきた。
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■予告編 →https://youtu.be/R-oJkuv82uE

■現地予告編 →https://youtu.be/Gt9CsXrlO8Y

   
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by k_hankichi | 2015-06-08 06:56 | 映画 | Trackback | Comments(2)