日曜日の天声人語に、憲法学者の南野森がAKB48の内山奈月に日本国憲法を講義した議事録が本になっていることが紹介されていて、すぐに買い求め、一気に読んでしまった。『憲法主義 条文には書かれていない本質』(内山奈月、南野森、PHP研究所)。→http://www.php.co.jp/kenposyugi/

法学を学んだことがなく政治にも疎い僕にとって、何度も目から鱗が落ちる、物凄くわかりやすい憲法解釈書だった。第1講「憲法とは何か?」、第2講「人権と立憲主義」、第3講「国民主権と選挙」、第4講「内閣と違憲審査制」、第5講「憲法の変化と未来」から構成される。

「憲法は誰を対象にしているのか」という質問が途中に出てくる。その答えは「国民」ではなく「国家権力(者)」であるということも初めて理解できた。憲法を守らなければならないのは国家権力であって、われわれ一般人、国民は法律を守らなければならないのだ。国民は憲法によって守られる存在であって、憲法によって縛られる存在ではない。

集団的自衛権の行使の件についても、憲法改正を経ずに解釈の変更(解釈改憲)でもって進めていこうとする危険性について、ようやっと腹落ちした。それをいったん許し始めたら、憲法の拘束力そのものが弱まっていくことになる。つまり、国家権力を縛り切れなくなり暴走が始まるのだ。

それにしても、これらの講義のなか、先生の質問に的確にこたえていく内山さんの秀才ぶりには驚愕した。講義時は高校3年生だった内山さんは、日本国憲法の全文をほぼ暗記していて、どの条項に何が記載されているかを即座に応えることができているのだけれど、単に暗記しているだけではなく、自分自身できちんとした解釈が出来ている。僕などには及びもつかぬ俊敏なキレがある。(彼女は現在、慶應義塾大学の経済学部1年生だという)。この先、彼女はアイドルを終えたあと、有能な社会人(あるいは政治家か)になっていくだろうことを予感させた。

本の売り文句には、『もしも国民的アイドルが、日本国憲法を本気で学んだら......。』という、『もしドラ』の二番煎じ的な説明があるのだけれど、僕にとってはそれどころではない目の覚めるような黎明の書だった。

■南野准教授による内山さんへの講義の様子 →http://youtu.be/azhGeAGWcF0
  

憲法主義:条文には書かれていない本質

内山 奈月 / PHP研究所

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by k_hankichi | 2014-07-28 00:11 | | Trackback | Comments(4)