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三人の女の人生が絡み合う物語『トリニティ』

昭和から平成にかけて、互いに触発し、またされながら生きてきた三人の女性の、希望と幸福、困惑と挫折とが入り混じった物語だった。僕の記憶の幾つかも呼び起こされるところもあって、興味をそそられたりもした。『トリニティ』(窪美澄、新潮社)。

こんな場面もある。

「この頃の登紀子が思い描いていた結婚の相手は、バッハだった。母が自分と父との生活をショパンとジョルジュ・サンドのたとえたように、登紀子は自分が結婚するならばバッハとその妻マグダレーナのような関係でありたかった。マグダレーナはハンブルグの教会でバッハの弾くオルガンを偶然に聞き、主天使が鍵盤を弾いているのかと聞き惚れ、彼をこの世で唯一無二の存在に決めてしまった。その後、バッハと出会い、結婚をし、亡くなるまでいちばんの理解者であり続けた。(中略)河津さんら私にとってのバッハだと。登紀子は心にそんな思いを秘めるようになった。」

文筆家の家系のライター、岡山から上京したフリーのイラストレーター、彼女らが働く出版社で働いた一介のOL。それぞれに光があり陰がある。

人の人生を辿るだけでも、物語を知るだけでも、哲学的なまでのものに触れたような思いがする。


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Commented by maru33340 at 2019-05-17 05:22
結婚相手としてバッハを選ぶという発想はなかったなあ(^^;
Commented by k_hankichi at 2019-05-17 05:27
maruさん、そういう意味でユニークな作家と登場人物たちです。
by k_hankichi | 2019-05-16 00:43 | | Trackback | Comments(2)

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