二日続けてコンサートに足を運んだのは学生時代以来だった。場所は白井市。そういう町が千葉県にある事すら最近知ったばかりだったが、思いのほか近くて、北総開発鉄道(いまは北総鉄道と改名されている)の威力を知る。
衣装はこの季節に合わせました、と自らマイクを取って最初に挨拶したパク・キュヒ(朴葵姫)は、サクラ色のふわふわとしたドレスに身を包んでいて、可愛らしさに溢れている。
小柄な彼女が放つ音楽はトレモロの極致。桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちるようにその音は華やかでかつ少し哀しげ。演奏に一区切りつくたびに、パクさんは解説をしてくれる。その少し稚拙な表現が、却って愛嬌がある。
いろいろな作曲家の曲のなかで、やはり心に沁みるのはスカルラッティのソナタ。
ナポリに生まれ教会付き作曲家兼オルガニストだった彼は、あるときスペインに移り住み、後半生をそこで過ごしたそう。作られた数々のチェンバロ曲は、ギターで弾かれることでその骨格を露わにして、哀愁をそそる。
■曲目
・K.カラハン 「リバー・ベッド」(スリー・リバー・モメンツの第2楽章)
・F.ソル 「グラン・ソロ」作品14
・D.スカルラッティ ソナタ K.32, K.322, K.178, K.390
・A.パリオス 「森に夢見る」
・F.タレガ 「ラクリマ」「アルハンブラの思い出」
・E.グラナドス 「詩的ワルツ」
・M.トローバ 「ソナチネ」R.ディアンス 「リブラ・ソナチネ」第3楽章
・アンコール: 「禁じられた遊び」
■日時
2019.3.30(土)14-16時 白井市文化会館 なし坊ホール(大ホール)