僕たち皆が読むべき一冊・・・『新天皇 若き日の肖像』
“「旅行のかたですか」
その青年は、紺のセーターに洗い晒したジーンズをはいていた。異国の街、オックスフォード駅前で出会った日本人に彼は戸迷いながら、優しく声をかけてくれた。
(中略)
あれから33年が経っている。あの穏やかで、優しい青年は、今、新しい「日本の象徴」となろうとしている。”
こんな感じて始まるプロローグのところで、何度も涙がじんわりと湧いてきて、感動で背筋がぞくぞくとした。
『新天皇 若き日の肖像』(根岸豊明、新潮文庫)は素晴らしいものだった。これはこれから彼を迎える我々は一同みな読んでおいたほうがよい。
いくつもの軌跡は、僕自身の体験や読書、音楽とも重なって、例えようもない心地よさとともに読了した。
さわやかな気持ちに春をようやっと意識した。