これまた録画したあった番組の話で恐縮だけれど書いておこう。(冒頭の与太話を早送りで飛ばしてから)観始めて、あまりの衝撃にソファからずり落ちそうになった。おおっと背筋を伸ばし襟を正して聴き惚れた。2月10日に放映された、『クラシック音楽館』のバッハの管弦楽組曲第4番だ。
演奏はトーマス・ヘンゲルブロック指揮、NHK交響楽団、昨年12月7日のNHKホール。
管弦楽組曲(とブランデンブルク協奏曲)は中学生時代から聴いてきたけれども、いつもどうしてか心の芯がどこかでイヤイヤ感を発してしまい、フンニャーという感覚の気持ちで萎えてしまうのが常だった。
なんだか古風な雰囲気で仰々しく、管楽器は煌びやかだが度を越すと馬鹿馬鹿しいほどの騒ぎぶりになりそうだよね、まあ抑えておこうか、でもこっちの弦は中庸の極みだよなあお前そう思うだろ、とお互いに目配せしながら弾いているのではと思うものばかりだった(実際は違うとは思うけど)。
関心があるのになかなか入り込めずに、来た道をすごすごと戻ってしまっていたものが、どうだこのヘンゲルブロックは。
彼にかかると、この曲は新鮮なる生き物たちの讃歌になって変貌している。管楽器は初初しく弾け散り、弦はこれまたリズムにのって前のめりに傾斜していく。
破竹の勢いの青春謳歌のほとばしり。
ああ、これを世界中の教会で響かせたい。太陽が落ちるころであろうとも、この清冽なる響きであれば、明日もきっと良いことがあると信じることが出来る。
それほどまでにこの演奏は僕の奥底まで沁み渡って清めていった。
彼の演奏会にこの次は是非とも足を運ばなければ。
■こちらはヘンゲルブロックがNDR交響楽団を指揮した演奏(2014年10月)。NHK交響楽団とのもののほうが、もっともっと良かった。
■南アジアの教会にまでこの音楽を響かせたかった。そうすればきっと・・・。