この間の神保町古本まつりの出版社ワゴンセール(すずらん通り)で買い求めた「本の雑誌社」の坪内祐三・日記シリーズ(サイン本)の最後を漸く読了。『三茶日記』。
結局年代を遡るようにしてシリーズを読んでいったのだが、それは結構良かった。
ああ、こういう経緯があったからそうなっていたのね、とか、その本はあとでああなったんだね、とか気づくことや分かることが続くので、種明かしみたいになっていて楽しめる。
それにしても『三茶日記』の頃は坪内さんは40歳。若い時からこんなにマニアックな毎日を過ごしていたのかと思うと、自分の過ごしてきた同じ時間の対比に愕然とする。
ああ、このころは僕はこんなことあんなことをしていたなあ、とかいう自分史との対比にもなるわけだけれど、技術開発の成果と文筆家としての成果は何の比較も出来ない。しかしそういう並行進行形の無関係な事実があるのだということを感じるだけでも、なんだかそれはそれで、この世の中に生きてきた無常的な感銘がある。