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by はんきち

菩提樹の世界に浸りたくなった

纏綿とか錦繍とか言う言葉が似合う、音楽マニアによる音楽マニアのための一冊だった。『死せる菩提樹 シューベルト《冬の旅》と幻想』(梅津時比古、春秋社)。

“青年は歩き続けて、どこからか離れてゆくことを自己認識しているのであろう。そして、どこか〈あの場所〉でこそ安らげるとも分かっているのである。ここへ来て、詩の第三連で〈旅立たねばならない今日も 木の下を通る 真っ暗な真夜中なのに 目をつむった〉として、主人公が目をつむった理由も見えてくる。それはフーフシュミットが指摘するように、第一連に描かれたようや現実的に牧歌的に位置づけられた菩提樹の姿を見たくない、見ようともしない、あるいは見られないからである。慈善的、偽善的な菩提樹への拒否と言ってもいい。”(「謎の4 菩提樹の声」より)

こんなふうな切り口の楽曲と詩歌の解析が進み、それはどこかに収斂するどころか、ますます深みを増していく。

シューベルトへの愛と憧憬のすさまじさにも圧倒され、これまでちょっと苦手にしてきた『冬の旅』を、この秋から冬にかけてはもっとよく(深く)聴き込んでいこうと思った。

※本の後半の1/3は、菩提樹の歌のほぼ全ての音盤についての演奏(歌唱)評と、音盤リストが付いている極めてマニアックな一冊である。

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by k_hankichi | 2018-09-14 06:59 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by maru33340 at 2018-09-14 08:09
うむむ。なかなか奥深い世界やなあ。
Commented by k_hankichi at 2018-09-14 08:36
これは、ほんとうに名著だと思いました。
Commented by Oyo- at 2018-09-15 00:17 x
『神の書いた曲』からまたお出しになったのですね。トーマス・マンのあの大作も最後に菩提樹が出てきますー!
Commented by k_hankichi at 2018-09-15 08:37
おようさん、トーマス・マンの作品に出ていたこと、全く忘れていました。読み返さねば!ありがとうございます。