久しぶりに熱く滾る想いに包まれる小説だった。『宝島』(真藤順丈、講談社)、
これは戦後まもない頃から返還復帰までの沖縄の、疾風怒濤の日々を描いた渾身の物語。
読み進めていると、自然に胸が詰まり呼吸が少なくなって、とにかく集中している自分にハッとする。息を殺している時間がある。
占領統治がもたらした圧政と抑圧。そこに対抗した人々の純なる愛と死。ぼくらは彼らの中に漲る忿怒と怒声を聞く。
「アメリカー」が日本にしてきたことは全て沖縄に残されており、それは今もなお続いているのだということも分かる。
ちゅらさんのドラマや観光での切り口からしか理解していなかった自分を恥じた。