夏休みに昼寝をしている場合ではなかった

僕は村上春樹をしっかりと読んでいなかったな、と自分で落胆した。『国境の南、太陽の西』(講談社文庫)を読んでのことだ。

これは上梓されたときに読んだだけで、何もかも全く忘れていた(ストーリーも訴えていたことも、ましてやその真髄は全く)。記憶というものは本当にあてにらない。

今回読んでみて、その骨太な訴えに驚いた。僕の心に響き、これは自分のことだと共鳴した。

「あなたはきっとひとりだけでいろんなことを考えるのが好きなんだと思うわ。そして他人にそれをのぞかれるのがあまり好きじゃないのよ。それはあなたが一人っ子だからかもしれない。あなたは自分だけでいろんなことを考えて処理することに慣れているのよ。自分にだけそれがわかっていれば、それでいいのよ」(イズミという女性が始(はじめ)に言う言葉)

「空白はどこまでいっても空白のままだった。僕はその空白の中に長いあいだ身を浸していた。その空白に自分の体を馴染ませようとした。これが結局僕のたどりついた場所なのだ、と思った。僕はそれに馴れなくてはならないのだ。そしておそらく今度は、僕が誰かのために幻想を紡ぎだしていかなくてはならないのだろう。」(終わりの部分での、はじめの独白)

夏休みに昼寝をしている場合ではなかった。

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Commented by rollingwest at 2018-08-19 08:34
ご無沙汰しております。早くも芸術の秋ですか!昨日は過ごしやすくて実にいい感じでした。だいぶ爽やかな空気になり秋めいてきましたが、北海道の山が8月なのに雪が降ったと聞きビックリしました。また猛暑が復活するようですが、ジェットコースターのようで・・、台風の発生数は異常な多さ。何か今年の気象は異常のオンパレードですね。お体、ご自愛ください。
Commented by k_hankichi at 2018-08-19 12:10
rollingwestさん、はい、もう秋は近いという気配。暑さにもう少し耐えて爽やかな日々を楽しみましょう。
Commented by omachi at 2018-08-19 21:29 x
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
Commented by k_hankichi at 2018-08-19 21:48
omachiさん、コメントありがとうございます。歴史の盲点を突く小説、面白そうです。トライしたい。
by k_hankichi | 2018-08-17 00:12 | | Trackback | Comments(4)