まるっきり聴いたことがないような瑞々しさに包まれたバッハ
2018年 07月 08日
まるっきり聴いたことがないような、摩訶不思議な感覚に包まれた。友人から知ったトーマス・ヘンゲルブロックという指揮者とフライブルク・バロック・オーケストラ。バルタザール=ノイマン合唱団による演奏である。
僕はそれがどのような演奏なのか分からぬまま、思い切って彼がドイツ・ハルモニア・ムンディで録音した音盤集を買い求めていた。
もちろんバッハのロ短調ミサ曲から聴き始めたが、不安は一瞬にして消え去った。一瞬にして。
バッハの音楽を耳にして、ぞわぞわと新鮮さと瑞々しさというものが迫ってきた若い頃の思い出が蘇った。しかもそれは此れまでに聴いたどんなバッハとも似通っておらず、ロ短調ミサ曲にしても、あれえ?こんな曲だったのかなおかしいなあ、でもああこの瑞々しさとはいったいなんなの、あら何という心地よさ、という感じなのだ。
かといって、それは奇を衒ったものではなく、表現するとすれば、真摯な静謐な誓いとともに発した音魂と言葉。
このグループの他の音盤を少しずつ聴いていきたい。生きるということへの新鮮な気づきが隠されているのだと思うと、この歳になっても心躍るものがある。