『私はあなたのニグロではない』の衝撃

束の間の週末の半日は有楽町でドキュメンタリー映画を観た。『私はあなたのニグロではない』(原題: I am not your negro)。

これは衝撃的な作品だった。そしてまた奇遇な連続にもびっくりした。このあいだ観た映画『マルクス・エンゲルス』と、同じ監督(ラウル・ペック)によるものだった。

米国の人種差別の無言のうちの厳しさは、僕も彼の地で過ごした一年間に、とことん味わっていて分かっていたつもりだった。しかしこの作品を観ることで、その生半可さに思い当たる。侵略と移民が始まってから400年以上もの期間が作り上げてきた、想像を超えた壮絶な暗黒の既定概念は、表向きは平等を謳う現在でも極めて根深く、そして実際はさらに陰湿に存在し続けている。

直裁な、そしてときに凄惨な映像は、読むこと以上に、ぐさりと深くこの身につき刺さる。

音楽も厳しい。黒人音楽、ブルース、ゴスペル、ジャズの哀切。そしてそれに対して示される白人的音楽の享楽的甘美的な響き。

差別というものは、庶民が生活のなかで自分たちの立ち位置を保つための最期の橋頭堡であり、そしてほとんどの場合、その虚像とその無意味さに気づかされずに、政治家たちによって見事なまでに操られてきたことも知る。

翻ってみれば、僕らのなかの日常にもその病魔は増殖していて、健全な心身にも目に見えずに既に息をしているのだということに思い当たる。

何度も何度も反芻して、この先にどう考えどう行動するかに反映していかなくてはならない。



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■映画とは対照的に野放図に明るかった丸の内
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Commented by Oyo- at 2018-05-21 11:35 x
重いテーマですね~。考えれば考える程、辛くなる世の中、晴れやかな空は救いです、ほんとうに・・・。
Commented by k_hankichi at 2018-05-21 20:45
おようさん、こういうことこそ、しっかりと考え抜かなくては、と思いました。
by k_hankichi | 2018-05-21 06:41 | 映画 | Trackback | Comments(2)