ラヴェルの音楽を久しぶりに聴きたいなぁと思っていたら、 友人がピアノ協奏曲を聴いていたのが分かり、妙にびっくりした。
僕の方のきっかけは、NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』からだ。主人公の楡野鈴愛(永野芽郁演じる)が働いている少女漫画スタジオの先生、秋風羽織(豊川悦司演じる)が、嘗て飼っていた犬たちを懐かしみながらレコードを聴くシーンがあって、それが映像ととてもマッチしていて僕まで犬たちのことを愛おしくなった。
掛かっていたのは、ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』。この昼下がりの微睡みのような甘く切ない旋律に触れ、ゆっくりと瞼を下ろしているだけで、そこにある時間は過ぎ去りし心温まる日々に戻っていく。
嗚呼、ラヴェルは良いなあ、脳が記憶のなかに溶けていくなあ。
それにしても、ドラマのなかで掛けていたLPレコードは不思議だ。レーベルにはヴァイオリン協奏曲第4番作品35と読み取れる。しかも不思議なことにKV番号まで付与されているよう。レーベル名はMETROMELODY。
無きヴァイオリン協奏曲のためのパヴァーヌだった。