風邪からの回復途上のなか、ダニエル・オッテンザマーによるクラリネット曲集に文字通り癒されている。肩肘を張るであるとか虚勢を張るという世界とは一切無縁な演奏だ。
音楽は、シューベルトとモーツァルトが主体で、だから尚更、これ以上脱力できないほどに揺蕩う。
オッテンザマーは31歳という若さながらウィーンフィルの首席奏者。急逝した父親エルンストもウィーンフィルの首席、弟のアンドレアスもベルリンフィルの首席というクラリネット一家だそう。
こんな人たちが隣家に住んでいたならば、漏れ聞こえてくる音楽だけでも毎晩観る夢も爽やかな優しいものになるだろう。
■音盤
ソニークラシカル SICC-30249
■演奏
ポール・グッドウィン指揮/ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
■収録
2014.5.17-18、モーツァルテウム大ホール、ザルツブルク
2014.5.21-22、サラ・プリンシパル、パンプローナ、バルアルテ他
■曲目
- シューベルト:セレナード D.957の4[歌曲集「白鳥の歌」]
- 同: 君はわが憩い D.776
- 同: 「ミツバチ」作品13の9
- モーツァルト: クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 I Allegro
- クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 II Adagio
- クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 III Rondo.Allegro
- ベートーヴェン:モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より「お手をどうぞ」による変奏曲 WoO.28
- ラナー: シュタイアー舞曲 作品165
- シュトラウス: ポルカ「休暇旅行で」 作品133
- ファルバッハ: 電光石火のポルカ 作品295
- アンコール(即興)