立ち寄りたいと思っていた場所に、思いもかけず訪れることができたのは日曜日の夕刻だった。ヘルシンキの中心部から歩いて30分ほどの、凍った川のほとりの公園にそのモニュメントはひっそりと佇んでいた。
あまりにもさみしそうな公園だったから、興味がない人たちは、ただ風景にそぐわないものが飾ってあるとしか思わないだろう。
だから尚更それは、その音楽に合っているように思える。
寒くて凍えそうで、北の空に太陽があがるような土地に内包された、生へのあくなき希求。暖かさへの憧れ。
そんな音魂が、吊り下げられたオルガンのようなパイプから響いてくるかのようだった。