チェロの音魂に男の述懐を知る

年末に立ち寄った馴染みの中古レコード店でお目当てのものがなく、仕方なく棚を見上げながら所在無げにCDを出し入れしていた。すると「いいんですよ、無理してお買いにならなくて」とお店のかたから声を掛けられてしまった。見破られた恥ずかしさから、返事を誤魔化しながら、じゃあこれと買い求めたのはブラームスのチェロソナタ集だった。

「集」といっても一番二番の組み合わせではなく、第一番ホ短調作品38のほかには、ヴァイオリンソナタ第一番ニ長調作品78「雨の歌」とクラリネットソナタへ短調作品120-1をチェロ版にしたものがカップリングされている。

ピーター・ウィスペルウェイは少し高めのピッチで実に爽快に弾いていく。伴奏のデヤン・ラツィックも快活だ。チェロは最も人間の声域に近いと言われるけれど、「雨の歌」はまさに、降り積む雨を前にして、ああだこうだと呟きながら一筋の糸口を探り当てて明日への活力を取り戻していく男の述懐になっている。

棚からぼた餅ならぬ、棚から良音だった。

■収録: 2006.4月、Muziekcentrum Frits Phillips, Einthoven, The Netherlands
■音盤: Channel Classics CCS SA 24707

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Commented by maru33340 at 2018-01-16 08:00
これは良盤であったねえ!
Commented by Oyo- at 2018-01-16 17:28 x
こちらのお二人、親子か兄弟みたいですね^^
ブラームス、あー、又聴きたくなりました(^^♪
Commented by k_hankichi at 2018-01-16 18:52
maruさん、この人のチェロは実に良いです。おようさん、チェロはオランダの人、ピアノはクロアチアの人でした。ピアニストはクラリネットも吹ける人で今や作曲家でもあるそうです。
by k_hankichi | 2018-01-16 06:43 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)