映画『Hidden Figures(邦題:ドリーム)』を出張中の機内で観た。素晴らしい作品だった。
時代は1960年代初頭。無人人工衛星でソ連に先を越されていたアメリカ合衆国は、躍起になって衛星打ち上げ技術の開発に取り組んでいる。
アメリカ中のエリートをNASAに集め、また検算担当に理数系を専攻した女性らも加えて頑張るものの、有人人工衛星の打ち上げでまたもソ連に先を越される。
マーキュリー・アトラス6号を打ち上げ、きちんと軌道に乗って地球を何回も何時間も周回させ、そして無事に大西洋に着水させたい。コードネームはフレンドシップ7。皆は血眼になって取り組むが、楕円軌道から放物線軌道に変えるポイントも計算出来ず、頓挫しそうになる。
そんなアメリカを救ったのがキャサリン・ジョンソンという黒人エンジニアだ。その方程式を解き明かし、見事着水まで至らしめたのだった。当時、黒人たちには公民権もなく人種差別も甚だしく、まして黒人女性に対しては何のレスペクトもしない文化だったから、その偉業といったらない。
原題名は、隠された計算(Figures)と、隠された人々(理数系の黒人女性エンジニアたち)を掛け合わせ暗喩したものだった。
どこから日本での映画名がドリームというツマラナイ題になってしまうのか、とんと見当がつかなかったが、これでは、落語もオチにならない。映画製作者を愚弄しているのだろうか。
■カリフォルニアのモントレー上空から。よく晴れていて美しかった。