日向子のマンガは行間が苦しくない

日曜日の新聞の読書欄で歌人の穂村弘さんが薦めていて、思わず買い求めた。穂村さん以外が紹介していたら間違いなく敬遠していただろう。マンガは、コマとコマの移り変わりが苦手だからだ。行間とでも言おうか。

『東のエデン』(杉浦日向子、ちくま文庫)。明治維新後の文明開化に晒される日本の日常を描いたもの。

とても面白く楽しめた。行間を読む必要が無かった。どうしてかそういうふうに出来ている。コマの移り変わりが自然でそこには必然性がある。すーっと心に吸われていく。

小津安二郎の映画はカット割りがしっかりしていて、お能の間合いのように観ているひとに違和感を覚えさせないとされていたが、あの感じに似ていた。

“歴史とは想像することだと、小林秀雄先生がカセットの中でしゃべってましたが、このマンガを見ていると本当にそれを実感する。知識や資料というのは手続きにすぎない。それらをいったんご破算にしてふくらんでいく想像力が。過去へ向かって未来的に先回りするんです。それはほとんど霊的な力で。それが私たちの中にわずかに残留している霊的端末子に働きかける。そうやって私たちは日向子に導かれて、あの時代の空気に鼻先から進入していく。”(赤瀬川原平による巻末解説から)

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Commented by saheizi-inokori at 2017-07-10 09:24
こりゃあ読まなくちゃ。
Commented by k_hankichi at 2017-07-10 22:10
saheiziさん、短歌・俳句的なマンガでした。
by k_hankichi | 2017-07-10 07:09 | | Trackback | Comments(2)