生きざまをピアニストが回想させ描かせる

ヴァレリー・アファナシエフによるピアノソナタの演奏会を聴いた。

後半のシューベルトを聴きたくて選び、それはその通りにピアニストの哲学と生きざまとの緊迫した対話の時間だった。

音楽はたびたび止まりかけるどころか殆ど停止する。我々はその唐突感に当惑する。空白が起きるたびに、ピアニストと聴衆とは互いに自分の内面に思いを馳せる。それは各々の苦悩と薄幸、邂逅と哀愁、惜別と追憶かもしれない。そして僕らはピアニストを通して自分の過去に遡ってゆくとともに行く末を想像する。

シューベルトのこのソナタについてアファナシエフは嘗て、第二楽章が全てでありそれで完結であり、どうしてその続きを弾きようか、というようなことを書いていたように思ったが、シューベルトは自分が創り出したある種の超越した世界に自分でも怖ろしくなり、あのあとの楽章を書いたように感じた。

あまりにも幸福に満ちた世界は、幻想に過ぎないし、もはや人生の余興に過ぎないかもしれないが、その美しさを思い出すことで気が触れてしまうことから戻ろうとしたのかもしれない。

■曲目
モーツァルト:ピアノソナタ第10番ハ長調K330
同:第11番イ長調K331
シューベルト:ピアノソナタ第20番イ長調D959
(アンコール〜モーツァルト:幻想曲二短調K397)
■場所
浜離宮朝日ホール
■日時
2016.10.28(土)15:00〜17:00

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Commented by Oyo- at 2016-10-30 09:54 x
わお~!聴きに行かれたのですね\(^o^)/
Commented by k_hankichi at 2016-10-30 10:16
はい、行ってまいりました。瞑想の世界でした。
by k_hankichi | 2016-10-30 07:49 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)