読み始めた本に次のようなことが書いてあった。
“フェリーニがこんなことをいっている。
「成功と虚栄は人間を弱くして、未熟なまま年をとらせる。(略)映画の世界では、精神の麻痺があまりにも早くやってくる。修道僧のように生きたカール・ドライヤー、サーカスの世界に属したチャップリンを別にすると、たいていの監督はわずか十年か十五年、せいぜい二十年しか続かない。きのう、すばらしい映画を撮ったかと思うと、きょうは、もうすっかりだめになってしまうのだ」(『私は映画だ』岩見憲児訳)”
このなかの、未熟なまま年をとらせる、という文言には、ずんと胸を揺さぶる。そして、これまで自分の周りにいた人たちのこと、そして自分についてまで思いを馳せた。
世の中というものは、そして人間というものは、怖いものだ。自分をしっかり保っていなければならない。
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