湿り気が抜けた朝の風に秋が入り込んでいることを感じた。
そんな案配のなかに聴いているのは、クロード・アシル・ドビュッシーのフルート・ビオラ・ハープのためのソナタ。
オーレル・ニコレ、今井信子、吉野直子による。
過ぎ行く季節に後ろ髪を引かれながら、移ろいゆく時のながれを諦観と郷愁が入り混じった気持ちで身を任せる。
友人はドビュッシーのピアノ曲についての解説書を読んでいるそう。
もしかするとこれは、フランス近代音楽が現在のこの混沌とした社会や人々の生きざまに対して、一服の清涼剤、緩和剤(いや鎮痛剤か)になるだろうことの暗示なのしれない。