バッハのパッサカリアと「コル・ニドライ」、そして「白骨の御文章」
横田庄一郎による『ゴーシュ余聞 チェロと宮沢賢治』(岩波現代文庫)を読んだ。『「草枕」変奏曲 夏目漱石とグレン・グールド』→
http://hankichi.exblog.jp/18880542/も感嘆したけれど、こちらはさらに音楽と文学を繋ぐ世界が深まる。
評論そのものは、賢治がいかにしてチェロと親しむようになったのかということを詳細な記録をもとに辿って行ったものだのだけれど、そのなかで著者は、賢治が浄土真宗の「白骨の御文章」を幼い時から家で唱えていたから、マックス・ブルッフの「コル・ニドライ」を知ってとても気に入っていたようだというくだりを紹介している。
なになに、どういうものなのか?と思って、そのお経を調べてみると、なるほどとても似ている。こりゃブルッフは仏教徒だったのかいと思ったほど。
更に読み進めていると、賢治が羅須地人境界の生活に踏み切ったころの「告別」という詩からは、バッハの「パッサカリアとフーガ ニ短調」(BWV582)の響きが聞こえてくると横田さんが記している。
あれ、良く聞いていくと、これも「白骨の御文章」ではないのか。
ブルッフ、蓮如、バッハと賢治が繋がった。
■Max Bruch: "Kol Nidrei", Op. 47 →
https://youtu.be/cKp_mVii-dk
■蓮如「白骨の御文章」→
https://youtu.be/Ubdz8AmYOUw
■J. S. Bach: Passacaglia and Fugue in C minor BWV 582 →
https://youtu.be/F51uHpH3yQk