ベートーヴェンの交響曲の中で一番演奏されない曲は何番なのか?と言われれば、おそらく第2番ではないだろうか。
1番、3番、4番といった名曲に囲まれながら、僕からみるとどうしても、小学校の教室で廊下側の並びの後から二列目に座っていたクラスメートのような感じがする。
それを久々に聴くことになった。
友人が兼ねて、秀逸と言っていただろう、アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルによるもの。
こんなに溌剌とした演奏があってよいのだろうか。こんな演奏を聴いてしまったならば、世の中の指揮者という指揮者は、もはや指揮棒を振る意欲を全て無くしてしまうのではないのか。
ベートーヴェンのさまざまな企てが、宝石のように込められていて、ときおり、侘び、寂び、の境地のような中期から晩年の彼の作風への布石のようなものがある。おもわずニヤリとする。
君の長期的な戦略は成功したんだよ。安泰だよ、200年後も。
そう伝えたい気がした。
■演奏:アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
■収録:ベルリン、グリューネヴァルト教会
■音盤:Disky classic HR70373