DDRから流れ来るバッハ

小説『革命前夜』のなかで、1989年当時の主人公が最良のマタイ受難曲だと言っていた音盤を聴いている。

当時の政治状況のなかで、一縷の儚き希望のようになっていたろう宗教と、その音楽にかける篤き想いが伝わってくる。共産主義からみれば宗教は不要なものとさえ思われていただろうだけに。

なかでもドレスデンの聖十字架合唱団で育て上げられたペーター・シュライアーの明朗快活なる声色は、いつかきっと素晴らしき世界が訪れるだろうという希求に満ちる。

テオ・アダムの歌声も、それは美しく、ワーグナーだとかシューベルトだけではなくて、バッハのためにも相応しいのだと思った。

いまやDDRという国の名前さえ忘れ去られようとしている。キリストだけでなく、薄氷を踏むように真摯に丁寧に歌い奏でた時代までもが甦る名演だと思った。

■演奏
ルドルフ・マウエルスベルガー指揮、ライプツィヒケヴアントハウス管弦楽団
ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団(指揮:エルハルト・マウエルスベルガー)
ドレスデン聖十字架教会合唱団(指揮:ルドルフ・マウエルスベルガー)
イエス:テオ・アダム
福音史家:ペーター・シュライアー
ぺテロ:ジークフリート・フォーゲル
アルト:アンネリース・ブルマイスター
ソプラノ:アデーレ・シュトルテ
■収録:1970年1〜2月、ルカ教会、ドレスデン。
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■Bach Matthäus-Passion Thomanerchor-Kreuzchor →https://youtu.be/1oO7hY2J7vY

バッハ:マタイ受難曲

ジークフリート・フォーゲル(B) / 日本コロムビア

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Commented by oyo- at 2016-02-23 20:22 x
まさにマタイの神髄ですね^^ 
Commented by k_hankichi at 2016-02-23 22:35
おようさん、はい、その通りであります。
by k_hankichi | 2016-02-23 08:02 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)