友人がバッハのカンタータ全集(おそらく受難曲やオラトリオも入っている模様)を入手して聴き入っているという。おお、それは僕もそれを買い求めたい、と希求するものの、その枚数に恐れいって未だ踏み切れていない。
しかしこの間買い求めた音盤が、そのなかの一枚と知り、そうと分かった途端、にわか偶像崇拝民衆さながらに、その音盤ばかり聴き続けている。
ヘルムート・リリンク指揮、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム。あわわっ、仕事でも縁のある街の人々によると知り、背筋がまた伸びる。
12番のカンタータ、゛Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen゛という名のついた曲は、えもいえぬ気持ちに包まれる。下降する旋律のどこまでもひれ伏していく哀しみ。
そして、゛Ich Folge Christo Nach゛は、あたかもマタイ受難曲の福音史家のような面持ち。
続く、゛Sei Getreu, Alle Pein゛も、予想だにしないトラムペットの音色が、さらに哀れみを誘う。
13番のカンタータも良いなあ。
リリンクがいざなうドイツの闇夜が、東洋の相模原野に繋がってゆく。