ヨオロッパを訪れて、何が良いのかと言えば、芸術に触れることは云うまでもない。しかし土地の風情を知り、街角のそこかしこにある何の気なしの調度のデザインの素晴らしさに、あっと息を飲むこともよい。食べ物にも震撼することもある。
今日は、飲み物に息を飲んだ。
カプチーノを頼んだら、見事なまでに潤沢なるクリームと、そしてそれを包み隠すほどのシナモンで覆われたコーヒーが出てきたからで、おお、ようやっと、本当のカプチーノだ!とため息をつくほど。
シナモン中毒であることは、どこかに書いたけれども、蠱惑的でぞくぞくするほど打ち震えるこの僕の身体は、これまで経験が無かったほどだった。
カプチーノの神髄は、ここでしか味わえない。
そのことを思い知り、そして、しみじみとそれを美味しく味わった夕べだった。