何気なくテレビをつけて観ていたら、それは有村架純が『あまちゃん』に出る前に主演を務めた映画だった。『リトル・マエストラ』(2013年)。石川県志賀町福浦や石川県金沢市が舞台になっていて、指揮者の井上道義(マエストロ・オルフェンシュタイン役)とオーケストラアンサンブル金沢も出演している。
単純なストーリーなのだけれど、内容はとても心に沁みるものだった。
北陸の漁港の人たちが細々とオーケストラを営んでいる。その老齢の指揮者が倒れ亡くなってしまう。そんななか、ファーストヴァイオリン・みどりの伝手で東京から指揮者がやってくる。なんとそれは女子高校生、美咲。彼女の指揮は的確で、音を聞き分ける能力も秀逸。みなは一つになり始める。しかし、そこに東京の高校の元仲間たちからの誹謗中傷が入り、メンバーは美咲のことを疑い始める。
美咲は漁港を去ろうとするが、それをみどりは食い止める。美咲は考える。エドワード・エルガーが「威風堂々」で伝えたかったことは何だったのかと。楽譜は作曲者からの手紙。そういうことを考えながら、それを次のように皆に伝えた。
“この「威風堂々」には作者の誇りが込められています。古臭いとか、時代遅れと言われたこともありました。でもこの音楽はいまでもちゃんと生きている。作曲者のエルガーは奥さんを亡くしてから創作意欲が衰え、しばらく作曲できなかったといいます。それくらい奥さんを愛していたんです。これは、彼が家族に囲まれていた幸せな音楽。きっといつまでも、色褪せることはないと思います。いつだって胸を張っていこう、前を向いて威風堂々といこう。この曲はそんな曲です。私はそう思います。私はこの「威風堂々」を「福浦漁火オーケストラ」のみんなでやりたい。この曲でコンクールに出たい。でもオーケストラって一人じゃできないんです。いくつものメロディがあって、それを支えるたくさんの音があって。この町には音楽がある、オーケストラがある。”
縮こまっていた仲間は一つになる。そしてコンクールの会場で皆が決めたことは・・・。
■出演
吉川美咲…有村架純(主演)
三村みどり…釈由美子
荒沢源次…蟹江敬三
井坂洋子…筒井真理子
大野岩雄…篠井英介
大野正也…上遠野太洸
荒沢勝…松本利夫(EXILE)
湊川辰次(タツ爺)…前田吟
■スタッフ
監督…雑賀俊郎
原作…いずみ♡組
音楽…歌里涼
音楽プロデューサー…平山広幸
■製作
「リトル・マエストラ」製作委員会、2013年
■映画予告編 →
https://youtu.be/SIy_okkwK4w