急きょ米国北部の街に出張に出向いている。仕事をし歓談をしたあと、雨に濡れながら夜のしじまを一人歩いた。
ミシシッピ川というものを初めて眺め、それが幾千年を経て土地を削り、この地に崖を残したのだということを理解した。鉄橋はさみしくて、何故かバルバラの歌「ゲッティンゲン」が頭の中に流れる。
あてどなく歩いていくと、いつの間にか目の前にシアターが現れた。夢なかの出来事のよう。聴いてもいない音が頭の中でこだまする。
そして公園がある。だれも見ずとも噴水が銅像を濡らしていて、それはたまらなくさみしくて、しかし美しかった。ミネソタのセント・ポールの夜は更けてゆく。