生きることについての悦び・・・クリュイタンス/ベルリンフィルによるベートーヴェン交響曲第8番
今週、神保町の行きつけの中古CD店で買い求めたものは、友人が、次のように言っていたもの。
「いかに優雅で知的で、柔らかなユーモアに満ちた風通しの良い曲であるかを再発見できるのが嬉しい。」
アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルハーモニーによるベートーヴェンの交響曲全集だ。これは、ベルリンフィルが録音した初めてのベートーヴェン全集。
どの演奏も素晴らしいのだけれど、特に第8番に感銘。それは、僕はこの曲について長いあいだ、「仰々しい馬鹿騒ぎ踊り」だと思っていたからで、その様相とは全く異なる。
心は朗らかになり暖かくなる。柔らかで機微に富んだ爽快さなのだ。
第1楽章:さまざまな葛藤は記憶からも意識からも過ぎ去り、ここに拡がるのは「生きることについての悦び」。
第2楽章:バレエのプレリュードのように始まり、牧歌としてのエピソードが、素朴に感銘に通り過ぎゆく。
第3楽章:おお、君の仕事はそれだね、僕はこの道を行くよ。こんにちは、神の恵みのような素晴らしく晴れ上がった空よ、野原よ、山河よ。さあ、みな明日に向かって歩んでいこう!
第4楽章:仕事をいそしもう、これは各々の建築事業なのだ。明日はわれわれが造りゆく。なんなの、この朗らかなる世界は!!
■演奏:アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
■収録:ベルリン、グリューネヴァルト教会
1957年12月(8,9) →第8番はこの録音年月
1958年3月(5)
1958年12月(1,2)
1959年4月(3)
1959年5月(4)
1960年3月(6,7)
■音盤:Disky classic HR70373