『アリスのままで』・・・明日を迎えるのが怖くなる

出張時の機内で映画『アリスのままで』(原題:Still Alice、http://alice-movie.com/)を観た。遺伝的な若年性アルツハイマー病を患う話だった。

ニューヨークのコロンビア大学で教鞭をとる言語学者のアリスは、人間の記憶についての第一線の専門家である。言葉というものを思考の根源と見做している彼女自身が、自分の記憶力が落ちてきていることに気づく。神経科の診察を受けた結果、50歳そこそこであるにも関わらず、アルツハイマー病にかかっていることがわかり、そこから夫や家族のケアが始まる。

この病気は、生まれ持っての論理的な知能を持っている人ほど衰えるスピードが早いという(そんなことを知ると観ているほうは猶更恐ろしくなる)。彼女は、意識がしっかりしているときに、未来の自分に向けてビデオレターを託す。記憶が蘇るときもあるのだけれど、衰えは確実に増していき、いつしか家族のことでさえも見分けが付かなくなる。自分に宛てたビデオを観ることになった彼女が迎えるものはなにか。

アリスを演じたジュリアン・ムーアは、凛とした理知的な学者から、療養に入って痴呆に至るところまで、同じ人が演じているとは思えぬほどで、こういうものを鬼気迫るというのだろう。今年の米国アカデミー賞主演女優賞は頷ける。

スクリーンのなかで起きているにもかかわらず、自分自身や、自分の身辺にも起きやしまいかという不安に襲われ、そうではないだろうとは思っても、明日を迎えるのが怖くなる。夏の欧州に足を踏み入れたとき、そこがイタリアではないにも関わらず映画『ベニスに死す』のことを想いだした。

■スタッフ、出演
監督:リチャード・グラッツアー、ウォッシュ・ウェストモアランド
出演:ジュリアン・ムーア、アレック・ボールドウィン
製作:2014年、アメリカ・フランス

■予告編 →https://youtu.be/P47brIG7-Zg

■米国版予告編 →https://youtu.be/ZrXrZ5iiR0o
  
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Commented by およう at 2015-07-16 23:53 x
今週で終わるので急いで銀座で観てきました。ここでも記憶の世界(^・^)
Commented by k_hankichi at 2015-07-17 06:52
おようさん、記憶というものの大切さを、改めて思います。
by k_hankichi | 2015-06-25 05:54 | 映画 | Trackback | Comments(2)