1980年代のバッハ演奏の規範。旧東ドイツが国を挙げて完成させたドイツ宗教音楽の真髄。そういう宣伝文句があって、思わず買い求めた。
長年、クレンペラー指揮による音盤を聞き続けてきたから、このペーター・シュライアー指揮の爽やかさに、目が覚めた。ルチア・ポップの鮮烈な響きに陶然となり、また、ライプツィヒの楽団の金管の煌びやかさにうっとりする。
なにか、コンテンポラリージャズに触れた時に似た感覚。バッハの曲をずいぶん聞いているのだけれど、新しい演奏に触れるたびに、深く吐息をつく。
■演奏
ペーター・シュライアー 指揮、ライプツィヒ新バッハ・コレギウム・ムジクム、ライプツィヒ放送合唱団(合唱指揮:イェルク=ペーター・ヴァイグル)、ルチア・ポップ(ソプラノ)、キャロリン・ワトキンソン(アルト)、エバーハルト・ビュヒナー(テノール)、ジークフリート・ローレンツ(バリトン)、テーオ・アーダム(バス)
■収録:1981年11月 & 1982年2月、ライプツィヒ、パウル=ゲルハルト教会
■音盤:コロムビアCOCO-73054-5