原節子が出ている映画『御嬢さん乾杯!』(木下恵介監督)のビデオを借りて観た。→
http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/content/filmdetail/12.html
小津安二郎の作品の彼女の演技ばかりを観てきただけに、他の監督の場合はどのようになるのだろうと思ったのだけれど、あにはからんや、原節子は、どの監督のもとでも原節子なのだということを理解した。
まなざしの微妙な移ろい、幾つになっても、すこし恥ずかしげな伏し目。何が美しいのかといえば、気持ちが動く直前に少しだけ視線が揺れ動くその按配だ。
『晩春』の能舞台で父親を見やる場面に昇華される原節子の眼差しは、すでにこのようなコメディ系映画においてでも発現されていて、原節子ファンにとっては見過してはならない大切な作品なのだと思った。
原節子だけがもっているこの眼差し。日本の女優では唯一だろうし、海外でも、『カサブランカ』のイングリッド・バークマンと、『天井桟敷の人々』のアルレッティぐらいではないのだろうか。
<あらすじ(松竹のYoutube webから)>
自動車修理業で成功した圭三に元華族の 令嬢・泰子との縁談がもち上がる。圭三は"提灯に釣鐘だ"として最初は断わるが、仕方なくお見合いするハメになる。 ところが圭三は泰子に会ったとたん一目惚れ。圭三には雲の上の美女に思われた泰子の方も結婚を承諾。こうして成金と没落華族のチグハグなやり取りが始まるのだった・・・.
■出演:佐野周二、原節子、佐田啓二、東山千栄子、村瀬幸子
■監督:木下惠介
■製作:松竹、1949年
■受賞歴:1949年キネマ旬報ベストテン6位、第4回毎日映画コンクール女優演技賞
■Youtubeから『御嬢さん乾杯!』 →
http://youtu.be/67srbsZx1-A