みちのくから帰る新幹線のホームで、並んでいる前の人をふと見たら、『気になる嫁さん』や『パパと呼ばないで』に出ていた女優だった。
「浦辺粂子・・・さん、ですか?」
と思わず声がでそうになった。
「りき(力丸)、おぼっちゃま、もう知りませんからね、私は~」
「文彦さん、まー嫌ですわ」
「めぐみさん、そんなことまで、しなくて良いんですのよ」
舞台は、祖師ヶ谷大蔵から成城学園にかけての界隈で、目の前を小田急電車が走る洋風の広い庭付き2階建てのなかで、若くして夫を亡くした未亡人(めぐみさん、榊原るみ)が、夫の兄たち(輝正[山田吾一]、文彦[石立鉄男]、力丸[山本紀彦])から慕われ(というか恋され)、さまざまな騒動に巻き込まれていくものだった。
あのころの古き良き昭和のことが甦る。
しばし絶句していたら、その浦辺粂子(似)はゆっくりと歩き始め、そして車両に乗っていってしまった。そして時代は走馬灯のように流れ過ぎた。
『気になる嫁さん』 →
http://youtu.be/n59A98JDCDM