気恥ずかしさとの葛藤・・・『知性を磨く』(田坂広志)
読んでいて、所々感心すると同時に、どこか気恥ずかしい気持ちに陥った。『知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社新書)。
「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。
後者は、決して諦めず、その問いを問い続ける能力で、ときに生涯を賭けて問うても、答えなど得られぬとわかっていて、それでも、その問いを問い続ける能力のこと、とさらに記されている。
そして、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」の七つのレベルの思考を相補的、相乗的に深めていくということが良いとする。
この書を読んでいる間は、意識が高揚してなにか、とても素晴らしいことに気づいた気がしていた。もっとこの著者の書いたものを読み進めたい気持ちがしていた。しかし、数時間もすると、それが、潮が引くように失せてしまい、なにか、ものすごく空虚で気恥ずかしい気持ちになっていった。
なぜなのか、わからない。わからないのだけれども、その理由を考えること自体からして間違っている、という声が頭のなかに響いていた。