帰りの機中、映画『Her/世界でひとつの彼女』を観る。スパイク・ジョーンズ監督、2013年、米国。今年の米国アカデミー賞・脚本賞受賞作。
作品HP:
http://her.asmik-ace.co.jp/
近未来社会におけるラブストーリーなのだけれど哀しい。離婚を控えている中年男・セオドアが、ふとしたきっかけでコンピューターOSが作り出す女性・サマンサに魅せられる。OSから発せられるのは声だけで、実体がない。しかし二人は恋に落ちてしまう。
あまりにリアルな感覚に、不安が頭をよぎる。人間は生身の人間を超えて、実体のないその創造物を愛し続けられるのか。
「愛とは決して後悔しないこと」。アリー・マックグローはかつての映画でライアン・オニールにそのように言った。恋し愛し嫉妬し落ち込み、そして苦悩し憎悪までも至ることが愛のなしえる仕業なのだろうけれども、コンピュータが創り出した恋人とは、そういう「愛のプロセス」を辿るのだろうか。
結末で、セオドアは、驚くべき事実を知ることになる。彼は気づく。ピグマリオンとは、自分だけの保たれた関係が維持され続けるときだけに、成り立つものだということを。愛ということの真の姿を悟った彼は、もう後悔をすることはない。
自分にとっての愛とは、いったい何なのか。この作品を観た観客は、しばらくそのこと考え、そしてそれぞれが悟るだろう。
■監督:スパイク・ジョーンズ
■出演:
ホアキン・フェニックス・・・セオドア
エイミー・アダムス・・・エイミー
ルーニー・マーラ・・・キャサリン
スカーレット・ヨハンソン・・・サマンサ
■映画トレイラー →
http://youtu.be/c9G4cRTov5E