昨晩からみちのく。宿泊先での朝は、決まったように身支度を整えながら、新聞に目を通す。住んだことはないがこういう生活がワンルームマンションなのかなと頭をよぎる。
7時。部屋を出て駅に向かう。構内のコーヒーショップでお決まりのホットドッグとコーヒーを食す。これはボールパークドックと呼ばれていて、少し硬いフランスパンに似た(でも異なる)ものに、ソーセージが挟まったものだ。硬のなかのジューシー、それがなすバランスが絶妙で実に美味い。この間など、びっくりして二本目も頼んでしまい、それもやはり美味かった。
肌が切れそうに寒い空気を、掻き分けるように歩くうちに、コーヒーの温かさが全身に回ってきて元気付けられる。
仕事に向かう途では、同じように忙しく学校に向かう学生らが会話している。東北弁の訛りが満載だ。そこに若者言葉が混じっているから半分くらいは分からず、だんだんとそれがバルトークの木管楽器曲のように聴こえてくる。
あちらでもバルトーク、こちらでもバルトーク。クラリネット系は女性、ファゴットやバスーンは男性だ。訥々とした音色のなかに、粘度があり、二十世紀を拓いた魂が、ここにも息づいているのかと錯覚する。