今朝もオルゲルビュッヒラインを聴きつつ、仕事に向かっている。頭の真上は曇天で、そこから啓示を受けるかのようにパイプ音が響き下ろされてくる。
遠く東の空は雲が切れ、その端が朝日を受けて、橙色に輝く。エンジェルが舞っているのか。
それにしてもこの音楽、このバッハは、神とその僕(しもべ)であろう人間の対話を、楽器と人声で表した、じつに妙なるものだ。
現世の少しの苦難、少しの窮屈や苛立ちなどあろうとも、それは取るに足りないことなのだと教えてくれる。
響いた音魂は減衰して空間や時間のなかにゆるやかに拡散していくのだけれど、それはわれわれの心のなかに染み通るために必要な間合いなのだということを悟らせる。