雨上がりの曇天に寄り添うオルゲルビュッヒライン・・・神との問答歌
昨晩の雨が上がったが曇天の空。北ドイツの灰色ともいえるような森林の上に広がる、あるいは、その先に急に見えてきた寒々な海辺の空のような色合いだ。
こんなときに聴くのは、バッハのオルゲルビュッヒライン。オルガンの太く高らかに響きわたる荘重さは崇高さと気高さというものに満たされる。それが終わると合唱が答辞のように極めて控えめに歌われる。
オルガンが神を表し、合唱が人類を表すような、そういう感覚に包まれる。神との問答歌というものはこういうことを謂うのだなあ、と思った。
■演奏:フランチェスコ・セラ(オルガン)、スイスラジオテレビ合唱団
■録音:2011年9月、チェザ・パロッチアレ、ギウバスコ、スイス(オルガン)
2012年11月、ステリオモロ・オーディトリアム、ルガノ、スイス(合唱)
■音盤:ブリリアントクラシックス94639