紐解かれた篤く大切な日々の積層・・・『いつの日も泉は湧いている』(盛田隆二)

読みおわって、久々に篤い想いが湧いてきた小説だった。『いつの日も泉は湧いている』(盛田隆二、日本経済新聞出版社)。日経新聞電子版に昨秋から今春まで連載された作品。

これは盛田さんの底流にあった最も大切な「心」なのではと感じた。「これまで書かなかった」のではなく、「書けなかった」のでもなく、「書くことを躊躇っていた」のでもない。

あの時代が何だったのかが分かりかけるのに時間がかかったのだと思った。40数年が経てようやくその様々な想いが沈降しきり、底流に静かに積みかさなったのだと思った。

紐解かれた篤く大切な日々の積層。そんなふうに思う。

1968年から1970年。主人公が中学生から高校生にかけて、社会の、政治の矛盾に真っ向から対峙し、篤き想いと熱き身体をぶつけていった時代。自分の存在を超えて社会に関わっていった時代。

長い人生からみればほんの短い二年ほどの時間は、彼にとっては「永遠」に繋がるほどの、いや、「永遠の」意味を持っていた。

いつの日も泉は湧いている

盛田 隆二 / 日本経済新聞出版社

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Commented by およう at 2013-11-21 16:50 x
少し年齢的に先輩でいらっしゃいますか?
Commented by maru33340 at 2013-11-21 20:26
うん、これは読みたいなあ。
Commented by k_hankichi at 2013-11-22 07:55
おようさん、はい、ご明察です。maruさん、非常に良いです。
by k_hankichi | 2013-11-21 08:10 | | Trackback | Comments(3)